令和5年第3回定例会ご報告~一般質問~
一般質問で原ゆきが行った質問をまとめました。
立川市では「障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例」を施行していることから、今回はその条例が目指す共生社会の実現をテーマに質問しました。
関心のあるトピックをクリックしてお読みいただければと思います。
※記事は概要です。質問の様子は以下をクリックしてご覧頂けます。
(R5年9月一般質問動画)
Topics
障がいのある人もない人もともに暮らしやすいまちづくりにむけて
◇学校教育のなかで
●立川市の特別支援教育について
Q.立川市としては、特別支援教育について、どのような認識か。
A.障がいのある児童生徒の特性に合わせた教育を行うため、市では、市立の小中学校に特別支援学級、特別支援教室を設置し、障がいのある児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立ち、児童生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導及び必要な支援を行っている。
Q.立川市が第6次障害者計画の中で明記をしている、「インクルーシブ教育システムの理念」とはどういったことか。
A.初等教育や中等教育段階において、障がいのある人と障害のない人が学ぶ仕組みと認識している。
Q.立川市の、特別支援学級に在籍する児童生徒と、通級による指導を利用する児童生徒、その内訳と総数は。
A.令和5年5月1日現在、特別支援学級の在籍数は児童数174人、生徒77人、合計251人。また、通級による指導について、特別支援教室の利用者数については児童数315人、生徒数139人。難聴・言語障がい通級指導学級については児童100人で合計554人。
Q.立川市の特別支援学級や通級で行われている特別支援教育は、通常の学級での教育に比べて、どのような違いがあるのか。
A.特別支援学級・特別支援教室では、特別な教育課程を編成し、障がいによる学習上、生活上の困難を改善・克服するため、自立活動の指導を行う、特別支援学級は、全ての教育活動において通常の学級とは別に教育課程を編成し、個々の障がいに応じた指導を行うが、特別支援教室では、通常の学級による教育課程に加える、または一部を変えて個々の障がいに応じた指導を行う。
Q.通常の学級に比べて、教員の配置にはどのような違いがあるのか。
A.通常の学級は1学級35人から40人の編成で、学級数に応じて教員配置がなされている。特別支援学級は学校ごとに1学級8人の編成で、学級数に応じて教員配置がなされている。難聴・言語障がい特別支援学級は、障がい種別ごとに市内の利用人数に対し1学級20人の編成で、学級数に応じて教員配置がなされている。特別支援教室は、市立全小中学校の利用人数に対し12人に1人の教員配置がなされており、それを拠点校ごとに配置している。
Q.通常の学級で受ける教育に比べて、特別支援学級や特別支援教室で行われている特別支援教育は、教員の配置が手厚く、きめ細かな指導ができるため「保護者のニーズが高い」という側面もある。では、国連の障害者権利委員会は何を問題視しているのだと思うか、認識を問う。
A.医療に基づく評価を通じて分離された教育が永続していること、通常の学級での教育を利用しにくくしていること、合理的配慮の提供が不十分であること、これらを問題視していると認識している。
●通常の学級に在籍する発達特性のある子どもたちへの支援強化を!
Q.本来であれば、通常の学級、通級指導学級による指導、特別支援学級、特別支援学校・・・学ぶ場所がどこであっても、等しく、特別な支援が必要であれば、その支援を受けられるよう環境整備に努めなければならないと考えるが、見解は。
A.全ての障がいのある子どもにあらゆる教育段階において必要とされる合理的配慮及び個別の支援が提供されることを確保するための環境整備、そういったものが必要であると捉えている。
Q.立川市が令和2年6月に策定をした「第6次障害者計画」、第3節<基本方針3>にある地域生活の支援の施策5、子育て支援・教育の部分を読んだ。そこにある、(4)教育支援の充実 の中には、小中学校のバリアフリー化を学校の改修等と合わせて対応することや、特別支援学級の整備・新設、また特別支援学校の小・中学部に在籍する児童・生徒とのいわゆる副籍交流といったような、障がい理解教育の促進などについて書かれているが、障がいのある子が通常の学級におけるそのハンディキャップを支援すること、合理的配慮を行うことなどについての記載は見当たらなかった。立川市では、インクルーシブ教育システムに沿って、障がいのある児童生徒は特別支援学級等で受け入れるため、そもそも通常の学級での支援について考えられていないということか。
A.支援を必要とする子ども一人ひとりに対し適切な実態把握に基づく計画的な指導・支援の充実を図るため、学校生活支援シート等の活用を推進することとしている。通常の学級における支援についても、学校生活支援シートや個別指導計画の作成を通して合理的配慮を行うものとし、第6次障害者計画の中でも施策として置いている。
Q.子どもに障がいがあっても本人や保護者の希望があれば、通常の学級で学ぶことができる、ということは広く周知がされている、そういった説明がなされているという認識で間違いないか。
A.就学先の決定に対し、就学相談を通じ、保護者と教育委員会が合意形成を図りながら進めていくものであり、その際には、本人、保護者の意向を最大限尊重することを説明している。
Q.就学時の就学支援等検討委員会では実際にどのような手続きを経て、就学するクラスが保護者や児童生徒によって選ばれているのか。特別支援学級や特別支援教室等の決定プロセスについて、伺う。
A.特別支援学級に通う考えの場合、就学相談のあった保護者から子どもの情報を聞き取り、就学後の支援等の検討に必要な資料を収集していく。その後、就学支援部会にて行動観察や支援の検討を行い、就学支援等検討委員会にて適切な支援内容及び就学先について審議し、提案としてまとめる。提案については保護者へ丁寧に伝え、本人、保護者の意向を最大限尊重し、教育委員会が進学先を決定している。特別支援教室や難聴・言語障がい通級指導学級については、就学先、学校における相談や校内委員会における判断を通して、申請があったものについて教育委員会にて審査会を開催し、利用の可否に関する審査や、指導目標や指導内容に関する提案を行っている。
Q.就学支援等検討委員会では、特別支援学級等が適切と判断された児童生徒が、実際には通常の学級を選択して通っているケースはどれくらいあるのか。
A.令和5年度の就学に向けて就学相談を受け、就学支援等検討委員会で特別支援学級が望ましいと本人、保護者へ提案した子どものうち、通常の学級へ就学している子どもは約10%程度いる。
Q.就学支援等検討委員会で特別支援学級が適切と判断された児童生徒が、通常の学級を選択する場合、これから必要となる支援について、保護者の方や本人には、どのように伝え、実際のサポート体制はどのようになっているのか。
A.児童生徒にとって望ましい就学先を伝え、それ以外の就学の場では適切な指導や必要な支援が不十分となる可能性があることについて、保護者へ情報提供している。その点も踏まえて、その後のサポート体制についても保護者とは合意形成を行い、就学先を決定している。
Q.その場合、学校支援員で対応するといったことだと思うが、学校支援員は学校ごとにあてられた配置であるため、常時支援を必要としても、一人の児童生徒に常に配置できるわけではない。必要であったとしても、十分な支援が保障されているわけではない、ということになるのか。
A.学校支援員については学校規模に応じた配置をしているが、学校の体制や児童生徒の状況により、年度途中に急遽学校支援員の増員が必要となる場合には、学校からの申請に基づき配置時間を増やすなどの対応をして学校を支援している。また、これまでも2学期途中に各学校の活用状況や増配置の希望を確認し、教育委員会で全校の調整を図った上で、各学校への追加配置を行っている。
Q.その追加配置を行った上でも必要な支援が十分に保障されているのかどうか、ここに疑問が残る。また、以前の私の質問から、学校支援員は、その全ての方が、特別支援に対する知識を持ち合わせていない場合があるとの答弁だった、そのことについて、変わりはないか。
A.学校支援員の任用に当たっては、特に必要な経験や資格の要件はない。その上で、年度当初に学校支援員対象の研修を実施し、支援に対する考え方や支援の方法等を指導している。
Q.学校支援員のその研修は、毎年、すべての支援員の方が受けられている状況か。
A.学校支援員の研修は全ての方を対象として実施する。ただし、学校支援員の都合により研修を欠席する場合もある。その際には学校管理職を通して研修資料を配布するなど、学校支援員が研修内容を確認できるような対応を図っている。
Q.学校支援員の研修の充実については、先の文教委員会でも学校教育に係る質問の中で、市民から求められているものでもある。毎年、すべての学校支援員の方が、発達特性や特別支援教育についての研修を受けられるようにしていただきたいが、見解は。
A.都合で欠席となった場合にも研修内容が学校支援員に伝わるよう、引き続き対応していく。研修内容にどのように反映する必要があるかどうかというところは研究してみたいと思う。
Q.最初に示した表から、令和4年時点でまさに586人の通級に通っている児童生徒が、在籍学級で適切な支援を受けられていなかった可能性がある。結局、学校支援員の配置は、障がいのある児童生徒が必要とする全ての時間ついてくれるわけではなく、さらに言えばその対応につく学校支援員さん自体、特別支援としての知識があるわけではない場合もある。そうなってくると、通常の学級で適切な支援が受けられない、その体制づくりがないなら、障がいのある児童生徒が通常の学級を「希望はできる」としていても、「選択できない」ということになってしまっていないか。
A.就学先の決定については、就学支援等検討委員会の提案も含め、本人、保護者の意向を最大限尊重し、合意形成を図りながら進めている。希望について丁寧に聞き取りつつ、必要な支援のみでなく、教員が行う適切な指導についても十分に説明し、支援がないからといって選択できないということにならないように配慮している。
Q.本来、障がいのある子が、特別支援学級を選んでも、通常の学級を選んでも、必要とされる適切な支援が受けられるようにしないといけないと考える。障がいやハンディキャップ、周りの子たちと比べて苦手な事があっても、通常の学級で一緒に学ぶための、合理的配慮について、立川市ではどのような取り組みがなされているか。
A.難聴の子が在籍する学級の全ての机、椅子の脚にテニスボールをつけ雑音を低減すること、漢字の読みが苦手な子どもに対し振り仮名を振ること、子どもに合った教材を家庭学習のために貸し出すことなどを行っていると学校から聞いている。
Q.発達特性にも発達段階によって波が激しい場合があって、担任だけでは対応が追い付かずトラブルにつながることもある。学びの保障、その子に合った学びという視点からも、必要な時には専門的な知見から支援できる人をつけるなど、そういった体制を整えるべきではないかと提案する。そのことが、本人はもちろんのこと、保護者やまわりの児童生徒、先生方にとっても安心安全な学校と言えるのではないか。学校心理士がアドバイスなどする場合もあろうかと思いますが、担任がすべてその対応を背負うのではなく、役割を分担して働き方改革にもつなげていってほしい。そこで、立川市の学校介助員制度は、身体障がいや虚弱児が対象となっており、知的障がいや発達障がいは対象となっていない。通常の学級であっても、必要な場合は学校介助員制度の対象にすることを検討していただけないか。
A.学校介助員の必要性を検証すること、これがまず必要。今後の検討課題であると考えている。
Q.現状では学びの場の選択として特別支援学級を選びたい子どもたちや保護者の方がいることも分かるので、それ自体を否定するものではない。しかしながら、障がいのある子どもたちのうち、通常の学級に通う児童生徒、その権利自体は認められていながら、あくまで例外であるということを、この体制のなさが物語っていると言える。障壁があるのに合理的配慮がなされなければ人権問題。これについて、何か対処する考えはあるか。
A.合理的配慮については、学校において保護者と相談しながら学校生活支援シートを作成し、合意形成が図られているものと認識しているが、さらに必要な場合に確実な活用が行われるよう、教職員への周知、研修を行っていく。
Q.立川市では、校内委員会はどのようなメンバーで構成されているのか。
A.校内委員会のメンバーは、管理職、在籍学級担任、特別支援教育コーディネーター、特別支援学級等を担当する教員、養護教諭、その他学校によりスクールカウンセラーなど、必要な教職員により構成されている。
Q.校内委員会では、どういった取り組みをしているのか。
A.児童等の教育的ニーズの把握、支援内容の検討、支援内容の評価、支援内容に関する判断を専門家へ求めるかどうかの判断、校内研修の企画立案等である。
Q.特別支援学級が設置されいない学校における校内委員会では、特別支援としての専門的な助言を得る体制として、どのようになっているか。
A.校内委員会にて検討される子どものケースに応じて、都の巡回心理士による観察を行ったり、スクールソーシャルワーカー等と連携したりし、校内委員会の前後において助言を得て、校内委員会で共有、検討できるようにしている。
Q.校内委員会での助言を、実際に教室での支援として活かすために、取り組んでいることはあるか。
A.教員に対しては、巡回心理士のほか、学校で専門家を招聘し、実際の支援に対する指導助言を得られるよう予算措置もしている。学校支援員に対しては、学級担任や管理職から指示等により支援を行うものとしているため、担任等が支援の状況を確認し指導助言を行い、支援の充実を図っている。そのほか、特別支援学校のセンター的機能を活用し、学校における指導支援の状況を確認するとともに助言支援を得ている。
Q.校内委員会の構成メンバーである、特別支援教育コーディネーターについて、誰が担っていて、役割としてはどういったものか。
A.各学校で2人から4人が特別支援教育コーディネーターとして指名され、その内訳としては通常の学級の担任、専科の教員、特別支援学級の担任、通級指導担当の教員、養護教諭が担っている。
Q.学校の本来の別の業務がある中で、先生方がその役割を兼務するのは無理があるのではないか。私たち会派立憲ネット緑たちかわは、スクールソーシャルワーカーを各中学校圏域に一人の設置を求めている。例えば特別支援教育コーディネーターはスクールソーシャルワーカーが担ったり、そのための児童心理士がその役に就いたりすることができればその方が、それぞれの業務に専念でき、また専門的な知見から現場への助言もスムーズになるかと考えるが、見解を伺う。
A.現在都には専任として特別支援教育コーディネーターを配置できるよう要望している。
Q.必要なことは国や東京都に要望していって、子どもたちの最善の利益を保障していただきたい。全国的に、支援が必要なのに、国がすすめている「個別の指導計画」の作成ができていない状況がある。立川市ではどうか。
こちらは、立川市第3次特別支援教育実施計画から抜粋したもの。ここには、「学校生活支援シート(個別の教育支援計画)」、個別計画の作成状況というものが載っているが、これらのシートや計画について、説明願う。
A.学校生活支援シートは、学校教育法施行規則第134条の2に規定された個別の教育支援計画であり、関係機関等との連携の下に行う子どもの長期的な支援に関する計画。作成に当たっては、関係機関等と支援に関する必要な情報の共有を図らなければならないとされている。個別指導計画は個別の教育支援計画とともに小学校等の学習指導要領に規定された計画であり、子どもの実態に応じて適切な指導を行えるよう、一人ひとりの指導目標、指導内容、方法、評価等を明確にするもの。通級による指導を利用している子ども、特別支援学級に在籍している子どもに対しては、学校生活支援シートと個別指導計画を作成する義務があり、現在立川市内全て指導の学校にて作成されている。
Q.平成31年の段階では、個別指導計画と個別の教育支援計画の作成がおよそ6割程度に留まっている。この原因についてはどういったことが考えられるか。
A.それぞれ前年度末時点での実績値となり、また特別支援学級在籍や通級の利用を除いた通常の学級における作成上状況のみを反映させたものとなっている。個別指導計画及び個別の教育支援計画の作成については努力義務となっているため、作成されなかったものと認識している。
Q.そうなってくると、支援が必要なのに、支援計画をつくっていないかもしれない場合があると考えておかしくない。学校の判断ではなく、立川市で統一した支援計画作成の目安が必要なのではないか。
A.作成状況を再度確認し、現状を踏まえた形でどういう対応が必要か検討してみたい。
◇地域生活のなかで
Q.立川市は、障がいのある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例の中で、障がいのある人への合理的配慮を行うことを義務としている。まちづくりの観点から、具体的にどのような取り組みがなされたか、あるいはなされていく予定か、伺う。
A.条例が目指すまちをつくるために、条例の内容を市民・事業者にお知らせをし、障がいに関する正しい知識と理解を深めてもらうことが重要であり、そのため、市民・事業者への条例の普及啓発の取り組みを進めている。具体的な取り組みとしては、市民・事業者に対して、広報、ホームページ、事業者向けパンフレットやチラシの配布等により合理的配慮等への周知啓発を進めるとともに、早い時期からの障がいに対する理解教育の推進のため、小学校において条例ガイドブック「みんなの笑顔」の配布や授業での活用、障がいのある人との交流イベント、コラボアートを実施した。
Q.立川市障がい者施策推進委員会の会議のなかで、「児童専門部会」の立ち上げのことについて言及されていた。こちらについての協議は現在どのような状況か。
A.児童専門部会については、立川市自立支援協議会の専門部会の一つとして存在している。障がい児に提供するサービスの質、資質の向上を目的として、令和3年10月に立ち上げられた。令和5年度においては、放課後等デイサービス及び児童発達支援のサービス提供事業者、訪問看護ステーション、行政職員、おのおの12名で構成されており、年4回のペースで活動しており、任期は2年間となっている。
Q.児童専門部会の具体的な取り組みについて、聞く。
A.放課後等デイサービスなどの各サービス提供事業者が抱える問題を情報として共有化することにより、立川市の地域課題を洗い出し、課題解決の方法を検討している。また、各事業所職員等の資質向上に向け、研修会などの学びの場の企画提案等も行っている。
●東京都の手話言語条例を活かそう
Q.東京都では、2022年9月、手話が独自の手法を持つ一つの言語であるという認識の下、手話に対する理解の促進や普及、共生社会の実現を目指す「東京都手話言語条例」が施行された。この条例の中には、様々な場面で、手話を必要とする人のための施策を行っていくという内容が示されており、その一つに、「学校における支援」がある。こういった、東京都のサポートも活用をして、普段、聴こえのよくない子、あるいは耳の全く聴こえないが、必要であれば東京都のサポートを立川市から依頼して、学校生活の中で、手話でその活動をサポートしてもらうということは可能なのか。
A.難聴言語の通級指導学級に通っている児童に対するサポートについては、行っていないと東京都より回答があった。
Q.学校に限らず生活の中では、市民の方が手話でコミュニケーションをとりたいとき、そのサポートが必要な場合、立川市としてはどのような支援に取り組んでいるか。
A.手話でのコミュニケーションが必要な場合、手話通訳者の派遣申請を行うことで、手話通訳者を派遣している。また、本庁舎市民においては原則として手話通訳者1名を障がい福祉課の窓口に専属配置をして手話を必要とする方の支援を行っている。
●重度障がいの方への適切なサポートを
Q.また、現在の法整備では、重度障がいの方が、通勤または就労中に介護支援を受けられないことになっている。これについて、立川市内事業者において、これを何か補完するための策を講じる事業所を把握しているか。
A.現在のところ、把握していない。
Q.就労中にこうした支援を受けるとしても、あくまで日常生活の延長線上にある支援であって、個人の経済活動を公費で支援しているとの批判は当たらないと考える。障害者雇用促進法の観点からしても、重度障がい者の経済活動中の介助は、雇用主の合理的配慮として求めるのではなく、公費で負担すべきと考えるが、見解を伺う。
A.本市においては、障がい福祉サービス以外のところで雇用主が職場に介助者等を配置することを支援する職場介助者の配置助成金制度を実施している独立行政法人があり、必要に応じてその法人を案内している。
Q.この事については大阪府が独自の支援策を行っていたり、埼玉県も通勤通学支援の実施はOKとしたりする例がある。さいたま市では、2019年に当時全国の自治体で初めて、勤務中の訪問介護サービス費を市が支援する制度を導入した。立川市は障がい者への合理的配慮を義務とする独自の条例を掲げている中で、重度の障がいがあっても介護支援があれば働くことができる場合、支援をつけて共に働く、そういった社会の実現を目指して取り組みを進める立場にあると考えるが、見解を伺う。
A.合理的配慮の提供について、市や市民、事業主にも義務化されているものであり、就労中の介助員の配置は、雇用主である事業者が公正な機会の確保に向けて、雇用している障がいのある方の意向を尊重しながら、個々の状況に応じて、その障壁を取り除くためにその負担を勘案しながら対応するものであると現状では考えているが、就労中の訪問介護という独自の支援制度を導入する自治体があるので、本市としても課題として認識するとともに、近隣自治体の動向を注視していく。