令和7(2025)年第4回定例会~一般質問~
本定例会で私は、聴覚障がいのある市民への情報保障の充実を中心に、インクルーシブ教育、パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度、について一般質問を行いました。
聴覚障害のある市民が、市政のあらゆる場面で等しく情報にアクセスできるよう、手話通訳や字幕のあり方、遠隔手話通訳サービスの導入可能性、市長会見や広報動画での情報保障の課題を取り上げ、市の見解を求めました。
また、インクルーシブ教育を見据えた特別支援教育については、市としての基本的な考え方や方向性を分かりやすく示し、現場と共有していく必要性を指摘しました。
あわせて、令和8年3月開始予定のパートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度について、導入にむけた状況等を確認しました。
以下に、一般質問で行った質問をまとめています。
関心のあるトピックをクリックしてお読みいただければと思います。
※記事は概要です。質問の様子(議会インターネット中継のアーカイブ配信)は以下からご覧いただけます。

Topics
テーマ1 聴覚障がいのある市民が安心して暮らせるための施策について
Q.(原ゆきの質問)本年12月1日から8日は立川市障害者週間ということで、障がいのある人もない人も共にくらしやすいまちづくりについて、啓発活動にお取組みいただいている。本年7月に台湾で行われた世界デフ陸上選手権大会で女子800mの銅メダルを獲得した立川市出身の岡田海緒選手は、デフ陸上競技女子の日本記録を複数もち、ジャズピアニスト山下洋輔さん以降待望の市民栄誉表彰にも選ばれました。このように、障がいへの理解を深めるイベントなどを通じて障害のある人ない人との共生社会の実現を目指す一方で、これまでの市長会見、広報、防災情報、通訳派遣、庁内の連携状況を見ると、聴覚障がいのある方に対する情報保障の観点からは、依然として部署ごとの個別対応にとどまっており、立川市として体系的に整備されているとは言えないと感じる。聴覚障害のある市民が市政のあらゆる場面で同じように情報にアクセスできるようにすることは、今や個別の施策ではなく、市全体の「根本的な方向性」として問われている。立川市として、情報保障を市政運営の柱として位置づけ、部署横断で抜本的に改善していく方針を持っているか。
A.(立川市の回答)本市では、これまで各部署において手話通訳者の派遣を含む情報保障を必要に応じて実施してきたところ。一方で、現状では部署ごとの個別対応が中心であると認識している。現時点では、まずは職員一人ひとりが情報保障の重要性を理解することが不可欠であると考えており、現在、障害福祉課窓口で掲示している「耳マーク」を全庁の窓口に展開できるよう取り組んでいく。
遠隔手話通訳サービスの導入
Q.本市では、意思疎通支援事業の一つとして、聴覚障がいがある方に対して、手話通訳者の派遣を行っていることを承知している。この手話通訳者派遣の申請は、ファクスで行うこと、また、申請の期限は原則1週間前に行わなければならないということになっている。これは、市長が推進する行政サービスのDX化に合わせて、オンライン化も検討すべきと考えるが、見解は。
A.現在、手話通訳者派遣の申請については、ファクスを基本としつつ、メールによる申請も受け付けている。ただし、手話通訳者の確保や派遣調整を円滑に行う必要があることから、申請期限は原則として1週間前までとしているところ。オンライン化については、全般的なDX化の状況も踏まえ、改善に努めてまいりたいと考えている。
Q.現在は手話通訳者の派遣ではなく、オンライン上での手話通訳を通して意思疎通することのできる「遠隔手話通訳サービス」の取り組みが広がってきており、採用する自治体が増えている。都内23区のうち15区、多摩26市中15市ですでに導入されているとの情報もある。能登半島地震でも活用された事例があると聞いている。この制度の導入により、緊急時への対応も可能となることや、行政サービスで手話通訳対応を希望する方の待ち時間も解消されるなど、市民にとって多くの利益が期待される。本市においてもこの遠隔手話通訳サービスを導入することにより、聴覚障がいの方の暮らしやすさにつながると考えるが、見解は。
A.制度を他団体で導入している事例があることは承知をしているが、現時点で具体的な検討には至っていない。引き続き、他自治体の動向などを研究していきたいと考えている。
情報保障の充実
Q.もともと耳が聞こえなく、手話でコミュニケーションをとる市民は、市のプロモーションとして用いられる市長会見・広報動画などについて、即時で情報をつかみ取ることが困難な場面が多く、苦労をしている。例えば、市長会見は追って会見記録を見ることができるが、先天性の聴覚障がいがある方で、幼少期から手話に親しんでいる場合、手話を母語として育ち、文字情報の日本語については後から学んだ言語として使用するため、長文を読んで理解することが大変だと当事者の方から伺った。一方で、同じ聴覚障がいのある方でも、その背景となる言語環境や習得状況によっては手話より字幕のほうが理解しやすい場合もあり、情報保障の観点からすれば手話通訳と字幕をどちらも可能とすることが理想であると言える。今後、市長会見や広報動画など、市のプロモーション活動において、手話通訳と字幕を恒常的につける方針があるかについて、見解は。
A.動画共有サイトユーチューブの立川市動画チャンネルで公開している各動画については、動画の視聴者側がユーチューブの自動字幕生成機能を利用することで、動画の字幕表示を閲覧することができる。一方で、自動字幕は誤った表示も発生することから、市長定例記者会見など、定期的に公開する主要な動画については、個別の字幕表示対応も検討していきたいと考えている。また、動画の手話通訳対応に関しては、対応することで動画公開までの期間が大幅に遅れるおそれがあるなど、費用面以外にも課題があるため、現時点においては恒常的に対応する方針はない。
Q.また、電話リレーサービスというものもあり、例えば中野区や港区では、聴覚や発話に困難のある人と聞こえる人との会話を通訳オペレータが「手話」または「文字」と「音声」を通訳することにより、電話で即時双方向につながることができるサービスを、公共インフラの一つとして実施している。また、文京区では開かれた議会を実現するとして、AIを活用したリアルタイム字幕システムを導入したり、ヒアリングループという難聴者の聞こえを支援する設備を活用し、誰もが議会傍聴できる取り組みを推進している。これら一つ一つの取り組みは、情報保障の標準化を目指すものであり、それによって個人差や地域差による情報格差をなくし、行政や支援者の負担を軽減するとともに、緊急時にも正確かつ公平に情報を届けることができるなど、共生社会の実現や権利保障の観点からも重要であると考える。他自治体の先進事例を踏まえ、立川市としても聞こえに不安のある市民が安心して暮らせるまちとなるため、「情報保障の標準化」を進めるべきと考えるが、見解は。
A.情報保障の標準化については、どの部署やどの場面でも同じ水準の支援が受けられることが望ましいと考えている。今後、他自治体の先進事例を踏まえ、研究していきたいと考えている。
防災計画における支援の強化
Q.立川市地域防災計画には、帰宅困難者への情報提供として、「市内防災無線、防災情報メール、エリアメール、SNS等にて情報提供を行うと同時に、駅周辺施設管理者及び鉄道会社、バス会社、FMたちかわ、ジェイコム多摩、駅前大型ビジョン管理者等の各事業所と協力して、一時滞在施設等、駅前大型ビジョン、文字表示盤等に交通機関の運行状況等を掲示し、帰宅困難者へ情報提供を行う」とある。帰宅困難者への情報提供として、駅前大型ビジョン等に手話通訳映像を表示する仕組みも効果的と考えるが、見解は。
A.災害時の帰宅困難者・駅前滞留者に関する対応計画において、駅前滞留者に対する情報提供手段として、民間事業者が運用している立川駅前大型ビジョンを使用することを計画している。民間事業者と協議した結果、災害時には立川市から各民間事業者に連絡し、あらかじめ作成してある案内情報などを放映することになっている。このため、現時点で災害状況に応じて必要となる情報を、手話通訳映像でリアルタイムに提供する仕組みを導入する予定はない。なお、災害状況に応じて必要となる情報提供については、立川駅南北デッキにある立川駅前文字表示盤による伝達や緊急速報メールなどを活用する予定。
Q.避難所における「要配慮者への広報」について聞く。手話を必要とする市民への広報として、現状ではどのような支援を行う計画か。
A.立川市地域防災計画において要配慮者への災害情報の提供としては、聴覚障害者に対しては広報紙、インターネットやメール配信などの文字情報により広報を行うこととしている。また、避難所における要配慮者への配慮として、「視覚障害者・聴覚障害者・外国人へは、音声による伝達やコミュニケーションボードの使用等、災害情報の提供や伝達方法に配慮する」こととしており、各避難所独自の広報については、防災備蓄倉庫内にあるコミュニケーションボードを使用した方法や筆談により支援することとなる。また、手話通訳者の派遣についても想定するといった記載になっている。
Q.避難所の中で、「耳が聞こえません」「手話ができます」などの情報が分かり、避難所の中で市民が助け合うことのできる取り組みとしては、どのような計画か。
A.防災備蓄倉庫には、首に巻く災害用バンダナを装備している。災害用バンダナには「お手伝いしてください」という文字と「お手伝いできます」という文字が印刷されており、首に巻く際にいずれかの文字を見せることで、避難所の中で市民が助け合うことができるように取り組んでいる。
Q.近年の災害時の避難所運営において、聴覚障がいのある方への情報保障のあり方が課題となっている。一般的には避難所の情報源としてNHKを中心としたテレビ放送が想定されますが、聴覚障がいのある方の中には、NHKの字幕情報よりも、CS統一機構の「目で聴くテレビ」のように、手話通訳が常時大きく表示され、視覚情報が最適化された専門チャンネルの方が、圧倒的に情報を得やすいという方が多くいる。本市でも手話通訳派遣を行うという内容もあるが、聴覚障がいのある方の言語特性に応じた複数の情報保障手段を「標準化」することが求められてると考えている。この「目で聴くテレビ」を避難所で視聴することは可能か。
A.要配慮者への災害情報の提供として、避難所に文字放送テレビの設置に努めることとしている。一次避難所では、小中学校で使用しているテレビを活用することを想定しているため、平常時のランニングコストを踏まえ、災害発生から当面の間はNHKでの文字放送での対応を予定している。
Q.災害時における聴覚障がいのある方の特別な備えについて聞く。聴覚障がい者は、外見からはその障害が分かりにくく、周囲の方に気づかれないまま支援が届きにくいという特性がある。また、歩行や移動にも大きな困難がない方も多いため、避難所では「支援が必要な人」と認識されにくく、その結果、最も重要な「情報」の部分で取り残されやすいという課題がある。しかし、災害時の避難所では、口頭アナウンスや掲示板等による情報共有が中心になりがちで、周囲の会話から状況を察することも難しく、強い孤立感や不安につながってしまう。そこで、聴覚障がいのある方が、日頃行っておくべき特別な備えについて、市はどのように考えているか。
A.市では、障害の有無にかかわらず、自助の観点から、災害への備えとして非常用持ち出し品を準備することを周知している。ふだん服用する薬をご準備いただくように、障害のある方の特別な備えについても次女として備え。避難所へ避難する際にお持ちいただくことが原則と考えている。
Q.避難所を実際に運営するのは地域住民であることを踏まえると、避難所運営連絡会での避難所運営マニュアルの見直しや、防災訓練の企画段階において、聴覚障がいの当事者団体等と連携することにより、更に具体的で実効性のある施策の進展が期待される。この点において、見解は。
A.立川市第7次障害者計画の取組施策「安全な生活環境の確保」の取組内容として、「防災対策と災害時の支援」がある。その中では「防災訓練や避難所運営連絡会等への障害者の参加促進が必要」としている。11月に行われた総合防災訓練には、聴覚障がい当事者団体等へ呼びかけており、今後も防災訓練を通じて、地元地域で支え合う仕組み作りを進めるため、障害者が防災訓練や避難所運営連絡会等へ参加できるよう周知を進めていく。
Q.障害福祉課、防災課、スポーツ振興課、生涯学習推進センターなど、複数の部局が横断的に連携する体制は、障がい者施策の実効性や情報保障の充実、災害時の対応力向上などに直結する。この度のデフリンピック2025は、こうした横断的連携を改めて推進する契機でもあったかと考えるが、市として、この連携体制をさらに強化していく考えはあるか。
A.庁内の連携体制については、これまでも施策を効果的に推進するため、関係部署間で連携して対応してきたが、情報伝達という意味で十分かと言われると、いまだ課題はあるものと認識している。今後も情報共有などの充実に努め、一層効果的に施策を推進していきたいと考えている。
手話言語条例の制定
Q.本市では、障害者施策や防災、教育、スポーツ・生涯学習など、さまざまな分野で聴覚障害のある方への支援に取り組んでいる。しかし、これらの施策の全体に「手話を言語として位置付ける視点」が統一されているとは言えず、対応にばらつきが出るおそれがあると考える。こうした状況を踏まえ、立川市として、市の施策全体に手話の言語的価値を明確に位置付けるために、手話言語条例の制定に向けた検討を始めるべきではないかと考るが、見解は。
A.本市は、これまでも手話通訳者の養成に努めるとともに、手話通訳者の確保に努め、意思疎通の支援に取り組んできた。手話を言語として位置付ける視点を市の施策全体に統一的にもつことは、施策の一層の充実に資する考え方であると認識している。私どもとしては、情報をいかに適切な形で保障していくのかを優先して取り組み、条例化については他市の運用や効果等を研究していきたいと考えている。
テーマ2 インクルーシブ教育を見据えた特別支援学級の充実について
特別支援学級および通級指導教室の体制整備
Q.特別支援教育の体制整備は、人員配置や教室整備もさることながら、相談体制や情報提供の仕組みも含めた「総合的な体制整備」であると考える。しかし現状、保護者の方と話していると、就学相談から学校選択、通級や特別支援学級の検討に至るまでの必要情報がまとまっておらず、全体像がつかみにくい、保護者にとって理解しづらい状況があることが分かった。この情報の散在という課題を、市はどのように認識しているか。
A.特別支援教育に関する様々な情報について、紙媒体やホームページなどにおいて情報を発信しているところだが、特に市ホームページは情報が体系化されておらず、保護者にとって知りたい情報に簡単にアクセスしにくい状況であると認識している。
Q.特別支援教育に関する情報は、就学支援シート、相談案内、通級や特別支援学級の説明資料など、個々には整備されているが、それらが統一的に並んでいないという現状。見つけたい人は、あちこち別のページを渡り歩く必要がある。特に就学前の保護者からは「まずどこに相談すればいいか分からない」「通級と特別支援学級の選び方が分からない」という声が一定数ある。特別支援学級および通級指導教室の体制整備の一環として、情報の整理や見える化を進める考えがあるかについて、見解は。
A.特別支援教育に関する様々な情報について、情報を体系的に整理するなど、保護者にとって分かりやすい情報発信に努めてまいりたい。
Q.ここまで述べてきた課題解決の方策として一つには、就学相談、通級、特別支援学級の基本情報等について、入口を一つにまとめるワンストップ的な案内をつくる、という手法がある。例えば八王子市では、「特別支援教育ハンドブック」と「就学相談ガイド」を作成しており、保護者・教職員双方に向けて、就学相談・学級・支援機関などをまとめて案内している。特別支援教育全体の入り口ガイドとして機能しており、「どこに相談するか」「支援の選択」「学校や教室の仕組み」などを網羅している。また、福島県いわき市の「こうすればできる支援ガイド」には、本人・保護者の相談窓口マップで関係機関を一つのガイドにまとめたり、支援のステップを「ステップ図」として見せる構成があり、これはまさに「相談・支援のワンストップガイド」に近いものとして参考になるものと考える。そういった、入口を一つにまとめる何かしらの案内が必要と考えるが、見解は。
A.就学相談や特別支援教室、通級指導学級、特別支援学級などに関する情報を個別に発信するだけでなく、それらがどのように関連しているのか、つながりがみえるように情報を発信していくことが必要であると考えている。市ホームページ作成上の仕様の範囲内とはなるが、より分かりやすい情報発信にむけた工夫をしていきたいと考えている。
「横の連携」と校種間の支援の継続・強化
Q.特別支援学級同士の「横のつながり」が十分でなく、現場の教員からは情報交換の場が欲しいという声がある。市内に勤務する教員で合同で研修する場などでも、自閉症・情緒障がい特別支援学級で集まれる機会がないとのこと。これから新たに開設される学級もある中で、市内の取り組みや指導の統一性という視点からも、連携していくことが大事だと考えている。こうした横の連携不足について、市としてどのように認識しているか。
A.現在、特別支援学級等の教員の情報交換の場としては、市内教員で構成される小中学校の教育研究会が主催している教員研究会が主催している教員研修の場などにおいて専門の部会を設けているものと認識している。また、東京都の教育研究会に参加し、情報収集に努めている教員も多いと聞いている。ただし、自閉症・情緒障がい特別支援学級については、市内に設置校も少ないため、情報が集まりにくいことは課題であると認識している。
Q.教材や支援方法を共有し合えるよう、教育委員会が主導して、自閉症・情緒障がい特別支援学級の教員同士の情報交換の場や研修機会を設けることについて、見解は。
A.教員同士の情報交換及び研修機会について、文部科学省からは「令和の日本型学校教育」を担う教員の学びについて、主体的に学び続ける教員の姿が、児童生徒にとっても重要なロールモデルとなり、自律的に学びを進めることが示されており教育委員会はそのための環境を整備していくことが必要と考えている。今後、設置する自閉症・情緒障害特別支援学級における情報交換の場については、当初は教育委員会主導で設定していくことも含め、校長会と調整を図っていきます。
Q.来年4月からは、初めての試みである中学校での自閉症・情緒障がい特別支援学級開設が予定されている。就学前から小学校、小学校から中学校、中学校から高校へと「切れ目ない支援」を行うことが肝要である。中学への初開設ということを受けて、今後これらの支援をさらに強化していく必要があると考えるが、見解は。
A.切れ目のない支援のため、今年度は就学支援シートの様式について、就学後の支援に生かしやすいよう見直しを行うなど、支援の継続の強化を図っている。今後、中学校の自閉症・情緒障害特別支援学級における小学校、中学校間の連携をモデルにした取組や近隣自治体の取組を学校に示すなど、切れ目のない支援の充実に取り組んでいく。
テーマ3 「同姓パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度について」
Q.先の第3回定例会における総務委員会でも、パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度の導入についてご報告があった。市民一人ひとりがその個性と能力を発揮できる社会を目指し、令和8年3月から制度を開始し、性の多様性の理解促進を図っていくものであり、根拠となる規定は要綱で定めることを承知している。当事者の皆さまからもかねてより求められていた制度であり、心待ちにされていることと感じている。本制度導入に向けた今年度の取り組みと、今後のスケジュールについて、伺う。
A.今年度の取組では、庁内検討組織である多様な性の制度検討委員会を4回開催し、具体的な制度内容について検討を進めている。今議会の総務委員会では、宣誓受領証明書のデザインや利用できる行政サービスについて報告する予定。今後のスケジュールについては、令和8年1月より周知を開始し、広報や市ホームページへ掲載すること等により周知をしながら、令和8年3月の運用開始を目指して、準備をしているところ。
制度の運用について
Q.同様に自治体独自で制度を運用しているお隣の国立市では、パートナーシップを宣誓するパートナー同士のお一人が市民でなくてもパートナーシップを結ぶことができるような運用になっていると聞いた。この点、本市の運用の方向性は。
A.国立市においては、パートナーシップ宣誓の要件として、どちらか一方が市民であれば宣誓できる運用としていることはお聞きしているが、一般的には宣誓された方が利用できる行政サービスとの関係から、お二人が市内に住所を有することとしており、本市においても同様の制度と考えている。
Q.これから制度が導入されるわけですが、運用する中で課題が出てくることも考えられる。そこで、制度導入後、必要な制度改善などに向け、市民や当時者の方との意見交換や聞き取り等行うことにより、市民の声の反映の仕組み作りをすることが肝要であるかと考えるが、見解は。
A.宣誓制度導入に際しては、本年2月に当事者の方との意見交換会を開催させていただき、宣誓方法や証明書の種類などについての貴重なご意見をいただき、制度に反映した。今後は、令和8年3月の運用開始前に、改めて当事者の方からご意見をいただく場を設定するなど、丁寧な制度設計に努めていく。
Q.日野市では「にじいろカフェ」といって、性的マイノリティのみなさんのおしゃべり会を定期的に行っており、私も本年2月に参加し当事者の皆さんと意見交換をさせていただいた。参加される当事者の方々の性志向・性自認はそれぞれだが、共通する悩みや連帯感があり、顔を合わせること・何気ない雑談がとても意義深い交流であり大切な居場所になっているのだと感じた。こうした交流の場の実施や居場所づくりについての見解は。
A.現状、交流の場など居場所づくりについての予定はないが、まずは3月の制度運用開始に向けた準備を進め、当事者の居場所づくりについては先進自治体の取組状況や運用方法など情報収集に努めていく。
理解促進等について
Q.これから導入する本市としては、レインボープライドへの参加など、性的マイノリティに対する理解促進となるイベント等への啓発活動も今後重要な取り組みとなるかと考えるが、本市の方向性について聞く。
A.当事者の方から参加するイベント等への参加や発信につきましても、今後も先進自治体の取組状況など、情報収集に努めていく。
今回は、取り上げた3つのテーマに共通する「多様な市民が安心して暮らせるまち・立川を目指して」という視点をもって質問を組み立てました。特別な支援が必要な聞こえについての障がいも、子どもたちの特性などにより求められる最適な学びも、同性婚という法整備がおいついていないセクシャルマイノリティーの方々の生きづらさの課題についても、地域だからこそ解決できることがあると感じています。それぞれのニーズの把握、必要な体制整備等の計画、それらを行動にうつす力強い実行力があれば、この多様性豊かな本市での暮らしが、さらに充実し笑顔あふれるものとなるという希望を抱いています。市民に寄り添い、やさしさ溢れる本市の一つ一つの取り組みを、さらに力強く推進していただけるよう、これからも引き続き市民の皆さんの声を代弁し、必要な提案を続けてまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
