令和5年第4回定例会ご報告~一般質問~
一般質問で原ゆきが行った質問をまとめました。
関心のあるトピックをクリックしてお読みいただければと思います。
※記事は概要です。質問の様子は以下をクリックしてご覧いただけます。
Topics
♢教職員のよりよい働き方にむけてPart2
●業務の適正化の推進について
Q.中央教育審議会、質の高い教師確保特別部会は、第3回の部会において「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策」を公表し、文部科学大臣に提出した。立川市教育委員会としては、この提言を受け、学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進について、どういった施策に主体的に取り組み、役割を果たしていく考えか。
A.優先度や重要度を丁寧に見極めた上で、スクラップ・アンド・ビルド(※)の視点から、市としての事業や学校での業務について見直しを図る。本提言の趣旨に基づいた環境整備に取り組んでいく。
※スクラップ・アンド・ビルド・・・物理的または機能的に古くなった設備を廃棄し、高能率の新鋭設備に置き換えること。業務等の新設にあたっては、同等の業務の廃止を行うこと。
Q.「負担軽減が可能」な業務に含まれるもののうち、まず、授業時数について伺う。特別部会の提言のなかでは、授業時数について、「上限」が示され、必要以上に時数を増やしてはならない、とされたことは一定評価できる。しかし、示された上限は標準時数を70時間も上回る1086時間となっている。週2時間分も上乗せした授業時数が、「ここまでは大丈夫」という許容範囲となってはならないと考える。文科省が示している標準授業時数は1015単位時間となっている。令和4年度実績で、全国調査の結果、小学5年生が1059.単位時間。中学2年生が1058.5単位時間となっている。立川の実績は。
A.令和4年度の市内小中学校の年間授業時数の実績、小学校第5学年の平均は約1041時間、中学校第2学年では約1063時間となっている。
Q. また、令和5年度計画の段階で、余剰時間も含め年間総授業数は全市平均で何単位時間ほどで報告されているのか。
A.令和5年度市内小中学校の年間授業時数の計画は、小学校第5学年は平均で1037時間、中学校第2学年は平均で1069時間となっている。
Q.中教審の緊急提言では上限1086時間ということですが、これを超えて授業時数が計画されている場合、年度途中であっても見直しをするよう促している。この程度の授業時数が計画されている学校は市内にあるのでしょうか。
A.本市において、提言に示される上限時数を超えている学校は現時点ではない。
Q. 学校行事については、かなり具体的に精選・重点化を図ることを求めている。具体的に例が上がった1点目が、「運動会での開会式の簡素化・全体行進の省略」。市内の取り組みの状況はどうか。
A.コロナ禍での教育活動の取り組みを踏まえ、運動会等の行事等については、コロナ禍前、従前の内容に戻すのではなく、教育的価値を改めて見直し、新たに再構築していくよう、各学校に周知している。今年度実施した各校での運動会でも、開会式、閉会式の内容を精選し、簡略化したり、入場行進は廃止したりする取り組みも見られている。
Q. では、「入学式・卒業式での慣例的・形式的な要素の見直し」については、どうか。
A.教育委員会の取り組みとしては、これまでの入学式としては、入学式や卒業式の当日の式場で読み上げていた教育委員会告示をお祝いの言葉として文面で式場に掲示するとともに、児童生徒に配布するなど見直しを図っている。各学校に対しても、コロナ禍前の内容を一義的に戻すのではなく、教育的価値の見直し、再構築を行うよう周知している。
●超過勤務について
Q. 超過勤務について伺う。市内小中学校教員の在校等時間管理、校種別・時間ごとの資料を見ると、令和4年度、小中学校の80時間以上の超過勤務をした教員の割合は、18.7%ということで、令和3年度は24.7%から減少している。要因についてどのように分析しているか。
A.校務支援システムや学校電話の児童音声応答装置の導入、スクール・サポート・スタッフの配置といった本市で進めてきた取り組みの成果が考えられる。また。学校の教職員の働き方に関する意識の変容もみられている。令和3年度と比較して在校時間は減少しているか、依然として高い水準にあると捉えている。
Q. 80時間のところは全体では減少したが、45時間から80時間の超過勤務があった教員は、全体で令和3年度41.5%から令和4年度45.1%と増えています。この要因についてはどのような見解か。
A.在校等時間の80時間以上の割合が減少したことに伴い、減少した分が45時間から80時間未満の割合に上乗せされていると考える。
Q. 中学校の80時間以上の超過勤務は令和4年度29.6%と、約3割の教員が当てはまる結果となっている。この要因について、どのような見解か。
A.中学校においては、部活動の指導時間がこの状況の要因の一つと認識している。
Q.80時間を超えた教職員に対して、労基法でも3か月続くと過労死ラインとなり精神衛生面が心配。面談などは行っているのか。
A.在校時等時間が80時間を超えたことをもって、一律に面談を実施することはない。ただし、管理職が教員の勤務状況をふまえ、適宜面談をしたり、学期に1回実施する定期面談、自己申告面談等の機会を活用したりするなど、教員の勤務や健康の状況等について把握に努めている。
Q. 文科省「学校における働き方改革の取り組み状況について」という資料には、「労働安全衛生関管理の必要性の項目の中に、産業医の選任義務のない(つまり教職員50人以下の)規模の学校に関しては、教育委員会として産業医を選任して域内の学校の教職員の健康管理を行わせる等の工夫により、教職員の健康の確保に努めるべき」とはっきり明記されている。また、今般の労働安全衛生法の改正によりその責務が改めて法令上明確化された。特に3か月以上連続すると過労死ラインと言われる超勤80時間以上の教職員に対しては、教職員50人以下の小中学校において、教育委員会が責任をもって対応しているのか。
A.本市の教職員に対しては、毎年、ストレスチェックを実施している。その中で高ストレスと判断された教員に対しては、産業医との個別面談を実施している。
●欠員の状況やその対応について
Q.令和5年11月1日時点の病休や産育休が要因による市内小中学校教職員の欠員状況は。
A.1校で1名。
Q. その欠員がでているクラスや教科において、どのような対応をしているか。
A.現時点ではクラス担任の不在という状況は生じていないが、今後、そのような事態が想定された際は、校内体制や時間講師等で対応していくこととなる。
Q. 武蔵野市では、学習指導講師として、市独自で小中学校の講師を募集、採用している。市講師をできるだけ配置して、先生方の負担を軽減するだけではなく、理科観察実験アシスタントや特別支援学級の介助員や補助員、それに交流共同学習支援員、学校事務・学校用務のアシスタント職員まで市教育委員会で登録をして、補助的な仕事が発生した際や繁忙期に仕事をしてもらっているとのこと。東京都から配置される都講師のみだと、現場の先生の負担軽減につながっていないことから、こういった取り組みをしているという。よりよい働く環境・学びの環境を整備するために武蔵野市教育委員会が主体となって働き方改革を後押ししているのだと言える。立川市でも市独自での講師登録・採用を検討していただきたいが、見解は。
A.本市としては、教員が病休・産育休等となってあ場合には、東京都が作成している東京都公立学校臨時的任用教職員採用候補者名簿に登載されている方の中から後任を採用することとなる。そのため、武蔵野市と同様な取り組みのほうを実施する予定はない。
Q.武蔵野市教育委員会によると、 小学校で教科担任制を実施する場合、専門性の高い市講師が教科を担当することによって、一部実施をしているとのこと。小学校だと担任の先生が全科をもつのが主流であるが、市講師のおかげで専門的に教えることができるので、その点スムーズであり、かつ教員の週当たりの授業のコマ数を軽減できるという利点がある。これによって、先生たちの授業準備に係る業務が軽減し、超過勤務がある程度減少してきている実感があると聞いた。立川市でも教科担任制度を一部導入している学校があるが、現在の実施状況はどうか。
A.本市においては高学年を中心とし、学校の状況に応じて教科担任制を進めている。また、第五小学校では、東京都教育委員会の小学校教科担任制等推進校の指定を受け、高学年の教科担任制の推進に取り組んでいる。
Q. 教科担任制を実施している学校では、どのような効果があり実際の業務負担軽減につながっているのかそうでないのか、現場の先生方の声や教育委員会の認識について、伺う。
A.教科担任制の取り組みに関して、学校からは、「授業の準備や教材研究が効率的になった」「学年として児童の指導の充実を図ることができ、児童理解も深まった」といった声が聞かれている。教育委員会としても、時間割の調整や指導しない教科の指導技術の向上といった課題はあるものの、学校の実践の成果を活かし、子どもたちのさらなる成長の取り組みの一つとして、今後も学校の状況に応じた教科担任制の推進を図っていく。
♢もっと!出産・子育てしやすいまち立川へPart3
●不妊治療の医療費助成について
Q.子育て環境のさらなる改善にむけて伺う。市長は、立川市の子育て環境を、どんな視点をもって、何を大事にして、市長の掲げる子育て分野の政策実現にむけて取り組みを進める考えか。
A.私は、市内で子育てをされている方が、どのようなところにお困りなのか、またご不安を抱いているのかをしっかりと把握した上で、そのお気持ちに寄り添いながら、必要な時に支援の手を差し伸べられるような市政でありたいと考えている。そのために、子育て中の皆さんや、現場で日々、ご支援をくださっている方々の声に耳を傾け、他の自治体での事例なども参考にしながら、安心して子育てできるまち立川の実現に向け、取り組んでいきたいと考えている。
Q.不妊・不育治療について伺う。市長公約には「不妊治療への支援」とあるが、その内容は。
A.子どもを望む夫婦の経済的負担軽減を図る支援の在り方について、現在検討している。
Q.東京都が特定不妊治療費の助成行っているが、併せて利用できる独自の助成制度を設ける自治体は増えてきている。立川市でも、経済的に応援する制度の創設を願う。経済的負担軽減の範囲などお示しいただきたい。
A.保険適用外の先進医療の自己負担軽減や、自費診療についても助成する制度内容について、検討を進めている。
Q.不妊・不育治療については心理的な負担も大きい。令和7年供用開始となる子育て健康複合施設では、子育てに関する横断的な対応をはかっていく予定となっているため、こちらで不妊・不育治療についても相談できる体制を整えてはと思うが、見解は。
A.現在、本市の対応としては、個別に助産師や保健師が相談に応じており、ホームページなどでは国や都の専門窓口を紹介している。引き続き庁内関係部署と連携して、周知の方策については検討していく。
●産後ケアについて
Q.産後ケア事業について伺う。多摩地域でも多くの自治体が助産師居訪問型、アウトリーチ事業に取り組んでいる。アウトリーチ型導入にむけて、課題であった担い手についてはどのような協議がされているか。
A.担い手については、市内の助産所に担っていただけるよう検討している。
Q.10月からはロビンの空クリニック、11月から立川相互病院と続いて、実施機関を増やしていただいたこと、その取り組みを評価する。新たに受け入れをする二つの機関では、宿泊型とデイサービス型両方の事業の受け入れということか。
A.ロビンの空クリニックでは、宿泊型とデイサービス型の両方とも利用が可能。立川相互病院については、宿泊型のみの利用となっている。
Q.母子保健法の改正に伴い、厚生労働省が令和2年8月に改訂をした「産前・産後サポート事業ガイドライン」には、本事業の対象時期について、「妊娠中から出産後の母親及びその家族の身体的・心理的安定のための相談、支援、仲間づくりをする事業であることから、妊娠初期から産後一年頃までの時期が目安となるが、親子の状況、地域におけるニーズや社会的資源等の状況を踏まえ、市町村において対象時期を設定する。」と書かれている。ここに、産後一年頃までの時期を目安とあるが、立川市では産後4か月未満の母子が対象となっている。この時期を設定している経緯や理由は。
A.本市の受託医療機関等の施設が新生児を対象としているため、現在の産後ケア事業では対象を4か月までとしている。
Q.改正母子保健法17条の2においては、本事業に関する市町村の努力義務の時期について「出産後1年」とされている。ガイドラインにも記述があるように、これは、従来までの事業において、出産直後から4か月頃までの時期が、一般に母親の身体的回復と精神的な安定を促進し、育児に関する不安や生活上の困りごと等において専門的な指導又はケアが必要な時期として設定されていた。しかしながら、改正法においては、低出生体重児等の場合に、入院期間の長期化で退院時期が出産後4か月を超える場合もあることや、産婦の自殺は出産後5か月以降にも認められるなど、出産後1年を通じてメンタルヘルスケアの重要性が高いことなどを踏まえて、「出産後1年」とされたところである。
資料から、どの年度も傾向として、退院後すぐ~2週間未満に利用している産婦が多く、産後1か月や2か月あたりでいったん落ち込み、そのあと産後4か月から5か月に向かって利用人数が増え続けている。この現状を見るに、生後5か月以降、需要がなくなるとは考えにくく、むしろ需要がまだまだある、ケアの必要な時期だということが推察できる。アウトリーチ型導入の際や、宿泊・通所型についても可能な範囲で産後ケアの対象期間を拡充できるよう要望とする。また、産後ケアについては、武蔵村山市やいくつかの自治体で、「市内に住んでいて、死産や流産、病気、事故などで子どもを亡くされ、心身に不調を抱える女性」も対象とする場合がある。これは、産後1年を経過しない方、ということ。立川市の取り組み状況は。
A.本市においては、現在のところ、流産、死産した方を対象にはしていない。今後、他市の状況なども参考に研究していく。
Q.一昨年5月、厚労省から、「流産や死産を経験した女性等への心理社会的支援等について」、通知が発出された。妊産婦には、流産・死産した女性も含むことや、各種母子保健施策の実施の際には、流産・死産した女性を含め、きめ細やかな支援を行うために体制整備につとめることが、求められている。本市においても対象に明記し、支援を行うべきと考えるが、見解は。
A.現在、個別に相談に応じており、より専門的な対応が必要な場合には、国や都の窓口を紹介している。
Q.流産・死産を経験した当事者からは、死産の時に必要な手続きの流れ、相談窓口、利用可能な行政サービス、及び自助グループの紹介などが求められている。本市にも、これら当事者向けの案内を、死亡届の際やおくやみコーナーなどで何らかのかたちで周知できないか。
A.市単独では流産、死産した方を把握することが難しいことから、個別の対応には課題があると認識しているが、ホームページなどを通じて周知するとともに、他市の状況を研究していく。
●東京都のベビーシッター利用支援事業について
Q.東京都のベビーシッター利用者支援事業について伺う。こちらの事業は、東京都が、財源10割で、立川市でも利用できるようにしてほしいということは以前にも要望した。本事業は保育の要件を問わず、土日や夜間帯も訪問保育を可能とする提携事業所が多い。働きながら育児をする多くの親たちは、急用など土日や夜間帯、子どもの預け先に苦慮している。本事業導入にむけての協議の状況は。
A.市長公約の実現に向け、補助の実施について検討を進める中で、提案のあった東京都のベビーシッター利用者支援事業の活用について、検討している。
Q.病児や病後児に特化した預かりについて伺う。子どもが体調不良のとき、一般的には、共働き世帯ではパートナー同士調整をして、交互に休みを取ることになるが、子どもが何人かいる家庭では、きょうだい間でうつってしまうことも多く、非正規雇用やパートタイムで働いている方の場合は、子どもの体調不良が長引くと、欠勤となってしまう。または保護者も罹患してしまった場合事態は深刻化する。立川市には病児・病後児保育を行う機関が2か所あるが、定員となり利用できないこともある。狛江市では、病児・病後児の場合に限ったベビーシッター利用を、生後2か月から小学6年生までの子どもを対象として助成する事業を行っている。こういった応援体制について、どう考えるか。
●おむつのサブスクについて
Q.最後に、おむつのサブスクについて伺う。おむつのサブスクとは、保育園に子どもを通園させている保護者が、その日使う分のおむつに記名をして自宅から持参する方式ではなく、月ごとに保護者が定額を支払い、保育園において必要な分のおむつとおしりふきを使えるというもの。実施自治体を調査したところ、回答のあった自治体のうち、おむつのサブスクと認められる事業を公立保育園において実施しているというのが多摩26市でも5自治体あった。市内保育園において、おむつのサブスク導入の協議はなされているか。
A.保育施設での紙おむつ定額サービスについては、周辺市の取り組みや市内の私立保育園での実施状況にも注視をしながら、昨年度より公立保育園での導入について検討を行っている。現在のところは直接的な要望をあまりいただいていないこと、また検討の中で出ている諸課題の解決が難しいことなどから、導入には至っていない。
Q.要望の声がないということだが、保育園に子どもを預けている、働きながら子育てをする保護者にとって、要望を行うことは気力体力のいることであると考える。利用者にアンケートを行うなどして、ニーズを的確に捉えてはいかがか。
A.保護者アンケートのほか、懇談会での意見交換や導入済みの施設への聞き取りなどにより、今後とも導入の是非について検討していく。
Q.日々子育てを頑張っている保護者の負担軽減ということでは、つい昨日の東京都の公立学校への教育費等無償化についての報道も気になるところ。最後に市長の見解を伺う。
A.公約に掲げているものも含め、できる限り多くの声に応えたいと考えているが、財源は限られている。保護者軽減という点ではそれにつながる支援を行っていくために、市民のニーズや優先度、緊急度をよく精査し、予算編成につなげていくよう職員に指示をしている。小学校の給食無償化については令和6年度の予算編成の中で、早い時期に実現すべく準備を進めている。仮に東京都の財政支援スキームが現実のものとなった場合には、中学校の給食無償化も小学校に併せて取り組んでいきたいと考えているので、都の動向を注視して準備を行い、保護者の負担軽減に努めていく。