鎌倉市立由比ガ浜中学校(学びの多様化学校)を視察しました
先日、会派で鎌倉市の由比ガ浜中学校へ視察に行ってまいりましたので、ご報告いたします。
鎌倉市では、令和4年度に設立を決定し、令和5・6年度に準備を進め、令和7年4月に「学びの多様化学校」として由比ガ浜中学校を開校しました。
公立中学校は市内に9校ありますが、由比ガ浜中学校は10校目の位置付けとなり、「多様な学びの場」を担う学校として設置されています。
特徴的な取り組み
■ 授業・学びのスタイル
- 年間総授業時数は770時間(標準より約3割減)
- 異学年集団を基本とし、学期ごとに編成を変更
- 「ウルトラ(総合の時間)」では、マイ探究として自分の興味関心を深める学びを実施
- 子ども自身が「学びの文脈」を選び、大人が支える仕組み
教科の枠を越えた学びのつながりも意識されており、経験を通した探究型の学習が行われています。
■ 人員体制
- 教諭9名
- まなびばサポーター(まなサポ)2名(男女各1名、週のうち半分ずつ勤務)
鎌倉市には、市長部局(こどもみらい部)が任用する「かまサポ」と、教育部が任用する「まなサポ」があります。
まなサポは教員免許を持つ人材が望ましいとされ、教育部の予算で配置されています。
「教員以外にも、子どもに関わる大人がいる学校にしたい」という意図が込められています。
また、心理士は予約制ではなく日常的に校内にいるため、子どもが気軽に話しかけられる環境が整っています。
■ 子ども中心の学校づくり
- 先生ではなく「スタッフ」という呼称
- 委員会は子どもの声から必要に応じて立ち上げ
- つどいスペースは子どもとスタッフが一緒に設計
子どもたちが主体的に関わり、「自分たちでつくる学校」という意識が育まれています。


子どもたちの学習の内容・スタイルによって配置を自由に転換できる机椅子

3Dプリンターで、麻雀の牌づくりに夢中になっている生徒さんがいると伺い、実際に見せていただきました。
子どもたちの「やってみたい」という気持ちを最大限尊重する体制に深く感銘を受けました。改めて、子どもたちの発想の豊かさや柔軟さに驚かされます。
■ 安心できる環境づくり
- 登校率は約80%
- 「欠席」という言葉は使わず「家庭で過ごした日数」と表現
- 遅刻しても大丈夫という安心感
- 「学びのあしあと(通知表)」は希望者のみ(※3年生は全員)
由比ヶ浜中学校は、通う生徒にとって「自分の居場所」と思える場となっています。



相談室の壁紙一つひとつにも、子どもたちが安心して過ごせるような工夫が感じられました。
「つどいスペース」は個別学習スペースや、ソファでくつろげるスペース、図書コーナーなど様々な「居場所」があります。
■ 保護者支援と地域とのつながり
- 月1回の保護者トーク会を実施
- 保護者同士のつながりづくり
- 孤立を防ぐ仕組み
- 保護者が学校運営に関わる機会
冬休みイベント(三草がゆ作り)や、夏休みの学び&ワークショップなど、任意参加型の取り組みも行われています。
保護者アンケートでは、「子どもの困りごとを相談できる場所になっているか」という問いに100%が肯定的回答でした。
視察を通して感じたこと
由比ガ浜中学校は、「学校に子どもを合わせる」のではなく、「子どもに合わせて学校のかたちを柔軟にする」という考え方が丁寧に積み重ねられている場所でした。
公立学校でここまでの取り組みが行われていることは、本当に大きな一歩だと感じます。
本来であれば、こうした柔軟な学びや安心できる環境は、特別な学校だけでなく、どの公立学校でも実現できることが理想です。しかし現状では、人員体制や制度設計、施設環境など、ソフト・ハード両面での課題も多く、すぐにすべての学校で同様の取り組みを広げることは簡単ではありません。
だからこそ今は、学校に通いづらさを感じている子どもたちにとって、多様な「選択肢」や「居場所」があるということ自体に大きな意味があると考えています。
学校という枠に限らず、子どもが
「ここが自分のいていい場所」
「ここに来るとホッとする」
そう思える居場所(人)が、地域の中に増えていくこと。
その積み重ねこそが、子どもたちの未来を支える土台になるのではないかと改めて感じています。

全国から多数の視察が訪れており、この取り組みの、各地からの関心の高さもうかがうことができました。
そしてなんと、日政連議員の先輩方にもお会いすることができました!
子どもたちの「学び」と「安心」を守る環境づくりは、一自治体だけで完結するものではありません。
全国で手をつなぎ、ともに前へ進めていきたい。
そんな思いを強くした一日となりました。
お問い合わせフォームから、皆さまのご意見や感想などもお寄せいただけましたら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
