【文教委員会 行政視察報告】子ども一人ひとりに寄り添う教育のあり方を学んできました
10月13日から15日までの2泊3日、立川市議会文教委員会の行政視察で、宮崎県延岡市と宮崎市を訪問しました。
今回の視察では、延岡市で「不登校児童・生徒への支援」、宮崎市で「包括的性教育」と「部活動の地域展開」について、それぞれの取り組みを学びました。
分野は異なりますが、いずれも子どもたちの状況や思いを大切にしながら、教育や支援の仕組みをつくっていくことの重要性を感じる視察となりました。
Topics
1.延岡市|子どもたちの状況に応じた多様な学びの場づくり
延岡市では、教育支援センターを訪問し、不登校の子どもたちへの支援や、多様な学びの場づくりについてお話を伺いました。
子どもに合った居場所と学びの選択肢
印象的だったのは、教育支援センター「オアシス教室」をはじめ、サテライト教室、オンライン学習支援室、学びの多様化学校の分教室など、子どもたちの状況に応じて複数の選択肢を整えていることです。
例えば、オアシス教室では、子どもが自分のタイミングで通い、帰ることができるなど、一人ひとりのペースを尊重した運営が行われています。公共施設を活用したサテライト教室も設けられ、通いやすい場所で支援につながれるよう工夫されています。
また、学校のテストを受けたいと希望する子どもには、在籍校からテストを届けてもらい、受けられる仕組みもあるとのことでした。
学校に通うことだけを目標とするのではなく、子どもが安心して過ごし、自分に合った形で学びを続けられる環境を整えていることが印象に残りました。
学校と支援機関がつながり続ける
もう一つ重要だと感じたのは、教育支援センターに子どもたちの支援を任せきりにしない姿勢です。
支援センターの職員が年度初めに学校を訪問するほか、日々の様子を細かく記録し、在籍校と共有しています。必要に応じて、スクールカウンセラーや職員との面談も行われています。
子どもが学校以外の場所で過ごしていても、在籍校とのつながりを保ち、関係する大人たちが継続して見守る体制が大切にされていました。
さらに、延岡市では、発達特性のある子どもたちが不登校になることを防ぐため、特別支援教育の視点を取り入れた授業づくりや、教職員向けの研修にも取り組んでいます。
一方で、小学校低学年の子どもへの支援や、学校内に設置する教育支援センターの拡充などは、今後の課題として挙げられていました。
すべての子どもが、どこかの支援や学びの場につながれるようにする。そのために、子どもの状況に応じた選択肢を整えるだけでなく、学校や関係機関が連携し続けることの重要性を学びました。
2.宮崎市|すべての子どもが学ぶ「包括的性教育」
宮崎市では、包括的性教育の推進についてお話を伺いました。
取り組みのきっかけの一つとなったのは、市長が総合教育会議の場で、学校における性教育の時間が十分なのかと問題提起したことだったそうです。
その後、専門家から学びながら、学校現場で実践できる指導案づくりなどが進められてきました。
今ある授業の中に、性教育の視点を取り入れる
今回、特に注目したのは、授業時間を新たに増やすのではなく、既存の教科の学習内容に包括的性教育の視点を取り入れるという考え方です。
国際セクシュアリティ教育ガイダンスや各市町村で使用されている教科書などを踏まえ、関連する単元の指導案を作成。AIも活用して指導案の案を作り、検討委員会で意見を募ったところ、約230件の意見が寄せられたとのことでした。
また、授業後に家庭へ知らせるための文書のひな形も教育委員会が準備し、学校が保護者に説明しやすいよう工夫されています。
学校には教育課程を編成する権限があります。その一方で、どの学校に通っていても、子どもたちが等しく学ぶ機会を確保することも重要です。
宮崎市では、校長会にも検討に加わってもらい、学校現場の意見を取り入れながら、年間計画の中に包括的性教育の視点を位置づける取り組みが進められていました。
立川市でも、学ぶ機会の確保を考えたい
立川市でも、学校ごとに性教育や命の教育に取り組んでいますが、外部の専門家を招くなど、発展的な授業の実施状況は学校によって異なります。
もちろん、学校ごとの特色や地域性を生かすことは大切です。しかし、自分の体や心を大切にすること、相手を尊重すること、性の多様性を理解することなどは、すべての子どもたちにとって大切な学びではないでしょうか。
宮崎市の取り組みは、各学校の自主性を尊重しながら、すべての子どもが学ぶ機会を確保するために、教育委員会がどのような役割を果たせるのかを考えるうえで、大変参考になりました。
3.宮崎市|子どもたちの思いを大切にする部活動の地域展開「MIYA活」
宮崎市では、部活動の地域展開「MIYA活(みやかつ)」についてお話を伺いました。
部活動の地域展開は、これまで学校が担ってきた活動を地域のクラブなどにつないでいく取り組みです。指導者の確保や活動場所、移動手段、費用負担など、考えなければならない課題は少なくありません。
宮崎市では、そうした課題に向き合いながら、子どもたちが地域でスポーツや文化活動を続けられる仕組みづくりを進めています。
子どもが自分で通える仕組みづくり
特徴的なのが、活動エリアと種目ごとのコースを設定する「エリア制とコース設定」です。
公共交通が必ずしも充実していない地域であっても、子どもたちが自分で通えることを考慮して活動の仕組みを整えています。交通面の課題に対しては、自転車での通学・通所を認めてもらうなどの工夫も行われているとのことでした。
また、複数のクラブへの参加も認められており、例えば、平日はサッカー、休日は別の種目に取り組むといった選択も可能です。
従来の部活動のあり方をそのまま地域に移すのではなく、子どもたち自身が何をしたいのか、どのように活動したいのかという思いを聞き、受け止めることを大切にしている点が印象的でした。
地域と一緒につくる持続可能な仕組み
指導者については、認定地域クラブ指導員として385人が登録されており、そのうち約40%が教員との説明がありました。希望する教員は、兼職兼業の仕組みを活用し、報酬を得ながら地域で指導を続けることができます。
また、クラブの立ち上げを支援するためのモデルや運営マニュアルを整備し、集金や連絡などの事務負担を減らす工夫も進められています。
市がすべてを細かく管理するのではなく、最低限のルールを設けながら、地域と一緒に活動をつくっていく「協創」という考え方も大切にされていました。
市の財源だけに頼らず、企業版ふるさと納税やスポンサー制度を活用し、クラブ運営を支える仕組みづくりにも取り組んでいます。
他自治体の事例を参考にしながら、宮崎市の地域事情に合わせて制度を組み立て、マニュアル化してきたというお話からも、試行錯誤を重ねながら仕組みを育てていく姿勢が伝わってきました。
部活動の地域展開は、単に学校の負担を地域に移すということではなく、子どもを真ん中において、学校も地域も一緒になって考え創っていくものというイメージがわいてきます。
子どもたちが自分の希望に合った活動を続けられること、そして地域の中で持続可能な活動として成り立つこと。その両方を実現するための工夫が必要だと感じました。
視察を終えて
今回の視察では、不登校支援、包括的性教育、部活動の地域展開という3つのテーマについて学びました。
それぞれの分野で取り組みは異なりますが、共通して感じたのは、子どもたちを既存の仕組みに合わせるのではなく、一人ひとりの状況や思いに目を向けながら、仕組みそのものを工夫していくことの大切さです。
また、学校だけで抱え込まず、教育委員会や専門家、地域などが連携し、それぞれの役割を果たすことも重要です。
今回学んだことを立川市の教育施策と照らし合わせながら、子どもたちにとってよりよい環境をつくるため、今後の議会活動につなげていきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
