2023年3月25日 立憲ネット緑たちかわ(所属会派)意見交換会「PFAS問題を学んで語ろう〜地下水汚染の今〜」

私、原ゆきは立川市議会に今期結成した会派「立憲ネット緑たちかわ」に所属しています。

会派でのイベントは今回が初めてです。年明けに東京新聞にも掲載があった、多摩地域の地下水汚染のことについて、私たちとしても危機意識をもって今回企画することといたしました。

参考に、東京新聞の記事を添付します。

発がん性疑い「PFAS」汚染が広範囲に 取水停止の井戸34本、東京・多摩地域 米軍基地関連疑い

2023年1月3日 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/223202

日米地位協定で「調査できない」 多摩地域でPFAS汚染が確認されているのに鈍い東京都の対応 健康基準も定まらず

2023年1月3日

https://www.tokyo-np.co.jp/article/223203

当日は雨の中、会場いっぱいの方々、またZOOM併用も試みて10名以上の方にリモートで参加していただきました。ご参加いただいた皆さまありがとうございました。

講師にお招きした諸永裕司さんは朝日新聞社記者(1993〜2023)

であり、入社後は週刊朝日編集部、AERA編集部、社会部、特別報道部などに所属されています。

「消された水汚染〜『永遠の化学物質』PFOS・PFOAの死角」(平凡社新書)の著者でもあります。

PFAS(ピーファス)とは、有機フッ素化合物の総称であり、PFOS(ピーフォス)やPFOA(ピーフォア)など多数あります。水や油をはじく性質があり、泡消化剤や塗料、フライパンのコーティングなどに幅広く使われてきました。環境中でほとんど分解されず、人や動物の体内に蓄積されやすいという特徴があります。がんや心疾患による死亡リスク上昇との関連や、妊婦が摂取すると胎児に影響を与え赤ちゃんの出生体重が減少する恐れが指摘され、近年、国際的に使用の禁止や規制が進んでいます。

日本では1950年代にこの有機フッ素化合物の使用が始まり、半世紀以上使われてきています。

1月3日の東京新聞には、「東京都多摩地域の井戸水から発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題で、都が汚染によって取水を停止した井戸が11の浄水施設(7市)の34本に上ることが、都水道局への取材で分かった。」と書かれています。

また、「井戸水の汚染源は不明ですが、米軍横田基地(福生市など)内で、長年にわたり大量のPFASを含む泡消火剤が土壌に漏出したと英国人ジャーナリストが報道し、関連が疑われている。神奈川県や沖縄県内の米軍基地内や周辺でも、高濃度での検出が相次いで発覚している。」とも。

PFASは地下水に溶け込み浄水所を経由しても分解されにくいため、水道水に含まれたまま各家庭で飲み水として私たちの体内に蓄積していきます。健康被害を懸念する市民団体は大規模な血液検査を実施しており、その結果についても諸永さんから言及がありました。

基地の影響で血中のPFOS・PFOAの濃度が高い沖縄宜野湾市などと同程度、あるいはそれよりも高濃度の水準で多摩地域(特に府中や国立、国分寺)の住民の血中濃度が高いということです。立川も例外ではありません。

横田基地モニタリング井戸からPFOS・PFOAが高濃度で検出されたことから、多摩地域の地下水汚染と基地の関係を明らかにするべきと考えますが、添付した記事にもありますように、日米地位協定がハードルとなり、日本側が基地の土壌への立入調査を行うことは「できない」と言います。

国連(ストックホルム条約会議)ではPFOS・PFOAなどの製造・使用を禁止することとなったものの、それらの対象物質が飲み水に含まれる規制となる目標値、基準値は国によって様々です。

日本は今PFOS・PFOAこの目標値を50ng/Lとしていますが、アメリカは現在生涯健康勧告値70ng/Lのところを2024年までに規制値として4ng/Lへ引き下げるようです。(※大人が1日2L70年間飲んでも健康に被害に影響のない値)

日本ではなぜもっと厳しく規制しないのか、不思議に思うところです。

これには、水道法がその根拠となっています。日本における水道法には、水質基準項目、水質管理目標設定項目、要検討項目があります。水質基準項目はその種類が51種類あり規制基準として遵守・検査の義務がありますが、PFASがここの項目には含まれず、水質管理目標設定項目に分類されているとのことです。水道管理目標設定項目では、検査などに「努める」と付記されています。

環境省の基準に連動されれば、行政に遵守・検査義務が生じ、土壌汚染対策法で取扱業者に適切な措置が求められるようになりますが、残念ながらそこまでに至っていないのが現状ということです。

バイオモニタリング体制やホットスポットの健康調査、土壌汚染の基準の設定や、土壌汚染対策法の適用の必要性が、諸永さんと参加者の皆さんの対話の中で見えてきました。

また、汚染源の特定という観点からは1960年の締結以来一度も改定されていない「日米地位協定」の壁が問題であると諸永さんは指摘されていました。米軍は立ち入り調査を認めず、汚染除去の責任を負わない。でもそこで汚された(かもしれない)土壌を通って汚染された地下水を通じ、私たちの体に有機フッ素化合物が蓄積していくって、、どう考えても納得いきません。

まずは汚染源の特定(基地の立ち入り調査など)をして、汚染除去に向けていち早く取り組むことが必要です。

立川市議会でも以前このテーマについて市民から声が上がり、令和3年6月24日付で「水道水源井戸有機フッ素化合物汚染についての意見書」を地方自治法の規定により提出しています。その中で、以下

  1. 有機フッ素化合物の汚染原因を究明し、汚染原因を解消すること。
  2. PFOS・PFOAの活性炭による除去など除去方法を確立すること。
  3. 地下水の揚水を継続し、汚染の拡散を防止すること。
  4. PFOS・PFOAの規制に伴い、代替のフッ素化合物についても検査対象とすること。

の4つを要望しています。

水道水源井戸の有機フッ素化合物汚染についての意見書 多摩地域で …

課題を抱える地元の議員として、そして子を育てる母としても、私たちの生活に欠かすことのできない地域の水、命の水の問題について、アンテナを高くもち、今後の動向についても注視し解決に向けて取り組んでいきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。