2024年第3回定例会ご報告~一般質問~
投稿がだいぶ遅れてしまいました。
一般質問のまとめを掲載します。
関心のあるトピックをクリックしていただければと思います。
※記事は概要です。質問の様子は以下をクリックしてご覧ください。
Topics
テーマ1「もっと!出産・子育てしやすいまち立川へPart5」
Q.本年年明けに能登半島地震の発生、先月には宮崎県や神奈川県を震源とした地震が相次ぎ、気象庁からは南海トラフ地震に関する臨時情報が発表された。地域のスーパーでは水や防災食の陳列棚が品薄になるなどの現象が確認されており、いつ起こるかわからない災害に向けて、日頃できる備えを行うなど市民の関心が高まっている。本市では、令和5年2023年5月に東京都地域防災計画が修正された状況を踏まえ、令和6年2024年4月に「立川市地域防災計画」の修正を行ったところ。子どもを育てる親としては、子連れでの避難となるとまたハードルが高く感じることから、妊婦や赤ちゃん・子ども連れでも安心して避難できる避難所という視点からは、どのような取り組みを行っているのか聞く。
A.妊婦や子育て世代が安心して生活できる避難所に係る取り組みについては、近年では液体ミルク、アレルギー用粉ミルクの備蓄を新たに開始したほか、授乳や着替えなどプライバシーを確保するためのプライバシールーム型テントの備蓄を整備するなど、物資面の整備を進めてきた。また、避難所の運営面については、避難所運営マニュアルに乳幼児世帯優先居室や女性専用スペースの配置を定めるなどの対応を行っているところ。避難所においては、女性や子どもへの配慮や、子育て世代の視点から避難所を考えることが必要と考えており、今後もこのような視点から取り組みを進めてまいりたい。
①誰もが安心して生活できる避難所としての備えを
・避難所運営や避難所備蓄品
Q.本年第1回定例会にて同会派わたなべ議員の代表質問の中で、災害時の避難所運営などを担当する防災部署において女性職員が少ないという点を指摘しているが、審議会等の女性委員の割合について、35%の達成目標に届くよう折に触れ庁内周知に努めているという答弁であった。防災部署の女性職員の割合について、改めてお示しいただきたい。
A.防災課の職員は現在11名おり、そのうち女性職員は2名。割合としては約18%となる。
Q.防災部署の職員に女性が18%というのは心もとない。市はこれまで、避難所運営に女性が関われる仕組みについて、内閣府から示されている避難所運営ガイドラインに沿った取り組みを進めていくとのことだった。その内閣府の避難所運営ガイドラインをみると、避難所運営体制の確立ということで、各避難所で仮称・避難所運営委員会を設置し、女性がリーダーシップを発揮しやすい体制を確立するとチェックリストにあるが、具体的にどのように進めるのか。
A.市職員とともに避難所運営を中心に担っていただく自治会では、男性が多く活動していただいている状況で、避難所運営では女性がリーダーシップを発揮しやすい体制の確立は大切ことと考えているため、避難所運営連絡会等の機会を通じ、女性の参画を促してまいりたい。
Q.地域防災計画や、立川市の避難所運営マニュアルに、運営側に女性を選出をすることについて、はっきりと明記されている箇所があるのかどうか、聞く。
A.地域防災計画では、女性や避難行動要支援者等の視点に立ち支援を行うことができる防災リーダーの育成について課題である旨の記載がある。また、女性や性的マイノリティーの方へのニーズの配慮という項目で、それぞれの視点にも配慮した避難所運営を行う旨の記載はあるが、女性の参画についての具体的な明記はない状況。
Q.立川市では、「防災リーダーに女性を」、「各避難所の運営に必ず女性を含める」、私は半数を目指すことが理想だと思うが、その意欲を聞く。立川市第7次男女平等参画推進計画には、災害に備えた取り組みとして、「平成28年・2016年度から女性の防災講座を始め、女性の防災リーダーを育て、防災知識を増やす取り組みを行っている」とある。そして、本計画を協議した審議会議事録には、「女性リーダーをわざわざ育成するというより、避難所を運営する側に半分女性がいればそのような問題はないはずだ。」という意見があった。私もこの意見に共感する。市の見解は。
A.内閣府から示されている避難所運営ガイドラインでは、避難所運営の意思決定の場には3割以上の女性の参画があることが望ましいとされている。引き続き、運営を中心に担っていただく自治会に促していく。
Q.私もこれまで多くの議員の皆さんが指摘してきたように、避難所の運営リーダーに女性の必要性を強く感じている。昨今の大災害において、多くの女性が感じてきた避難所での困り感や問題点は、運営側に女性の視点が加わるだけで今後解消されるということは共通の認識だと感じている。だからこそ、自分たちの地域で災害が起きた時、避難所生活が始まるとき、それらの教訓が立川市で生かされるようにしてほしいと考える。本市においては、避難所における女性相談窓口について、災害時には女性総合センターにおいて専門相談員や傾聴ボランティア等による対応を想定しているとのことだが、これはできれば各避難所での取り組みに発展させていく、そういった対応について相談員が避難所を巡回する必要もあると考えるが、それについてはどのような認識か。
A.相談のために避難所を巡回する体制については、女性相談には限らず、医療救護班において保健師等による巡回チームを編成し、避難所や避難所以外における巡回健康相談を行うこととしている。このなかで健康相談、ストレスに関する相談等を実施していく。
Q.避難所生活における授乳の話題を一つ例にあげれば、災害時に環境の変化や避難所生活のストレスなど負荷がかかり、母乳育児の母子でも母乳の分泌が悪くなるので、乳児の授乳は母乳でなくミルクに切り替えないといけないというイメージがあるかもしれないが、これは誤りで、日本助産師会がまとめた「災害時の乳幼児栄養に関する指針」の中には、災害時だからこそ、母乳育児が重要であることが明らかにされている。ストレスやショック、水分や食糧不足で一時的に母乳の出が悪くなったとしても、短時間であればそれまでと変わらない栄養分をもった母乳が分泌されること、だからこそ授乳中の母親に優先的に水と食料を供給してほしいこと、普段より頻繁に赤ちゃんに吸ってもらえれば分泌量の増加が期待できること、母乳に含まれている免疫のおかげで、災害時にまん延しがちな感染症から赤ちゃんを守ることができることなど、母乳育児をスムーズに継続できる支援こそが大切であること、あるいは人工栄養が必要な乳児の場合の安全な調乳法などについて説明されている。これらの事実は、災害時から離れた相談窓口で解決する内容ではなく、避難所でこそ支援していただきたい内容。防災リーダーや避難所運営側に携わる方には、こういった知識や支援策も備えていただきたいと願う。そしてその支援は、やはり女性の防災リーダーが力を発揮できる分野であると思っている。市の見解は。
A.母乳で子育てをしている方など、安心して避難所生活を過ごすことができる環境の維持は大切であり、そういった方が抱える困りごとの対応や、安心して話せる場の確保など、配慮できる女性リーダーは必要であると考えている。市では、市民防災組織に対して、 防災士資格取得の補助金により地域の防災リーダーとなっていただく方を支援しており、この補助制度を市民防災組織に案内していく中で、女性リーダーの必要性についても周知啓発を行ってまいりたい。
Q.避難所備蓄品について伺う。備蓄品の中には、哺乳瓶や粉ミルクなど、赤ちゃん向けの備蓄品も見受けられ、子育て中の方でもミルクなどの心配なく避難所で生活できるのかなという安心感がある一方で、これらの備蓄品に不足はないかと心配する点もある。例えば、哺乳瓶と哺乳瓶消毒容器、消毒薬、これらは良いのだが、立川市の備蓄している授乳グッズは、瓶消毒を行うことが前提であるように見える。瓶消毒を行うとなるとかなりの量の水が必要になるが、言うまでもなく避難所生活で水は大変貴重である。最近では防災用に特化した授乳製品も多く、災害時に貴重な水を使うことなく、使い捨てで授乳することができる防災グッズを実際に備蓄する自治体も増えている。例えば、浜松市では、2023年より使い捨て哺乳瓶の購入事業を始めている。浜松市の場合は授乳カップタイプのもの、哺乳瓶の形状のものがあり、どちらも洗浄や消毒が不要なのはもちろんのこと、重なった状態で梱包されている製品もあり、保存場所も最小限に抑えられるところもメリット。使い捨て哺乳瓶、哺乳用カップ、これらの備蓄について、見解を伺う。
A.洗浄や消毒が不要な使い捨て哺乳瓶については、能登半島地震における断水状況などを踏まえ、今年度に入り各一次避難所に12個ずつ購入している。使い捨て哺乳瓶の備蓄については、今後必要数を検討し、さらに備蓄を進めてまいりたい。
Q.この使い捨て哺乳瓶の備蓄について、立川市ホームページで公開している「一次避難所の備蓄品一覧」では確認できなかった。写真一覧にも併せて、適宜更新できないのか。
A.市のホームページには、地域防災計画に記載している備蓄品一覧とともに主な備蓄品を写真つきで掲載している。使い捨て哺乳瓶など新たに備蓄を開始した備蓄品については、地域防災計画の備蓄品一覧には、次回の修正に合わせて記載を追加し、市ホームページでは写真つきの一覧を更新していく。
Q.立川市でも使い捨て哺乳瓶の備蓄が始まったということを確認できて安心した。そうすると、瓶消毒のためのグッズと使い捨て哺乳瓶とどちらも備蓄としてあると思うが、今後将来的には哺乳瓶については全て使い捨てタイプに移行していくという考え方なのか。
A.現在、哺乳瓶はガラス製のものを備蓄しており、消毒のために併せて哺乳瓶消毒容器と消毒薬を備蓄している。使い捨て哺乳瓶も新たに購入しているが、当面は併用していきたいと考えている。
Q.使い捨て哺乳瓶の備蓄については、現状では数がまだまだ少ないので、さらなる拡充を要望する。また、最近では赤ちゃんとのお出かけや旅行先の授乳で活用する方も多い哺乳瓶用インナーバッグというものもある。哺乳瓶の中が汚れないので、マイ哺乳瓶を持っていれば、瓶消毒をせずともインナーバッグだけを変えてまた授乳できるという製品。こちらについても、備蓄していくというのどうか。
A.哺乳瓶用のインナーバッグも哺乳瓶の洗浄や消毒が不要になる製品だが、当面は今年度から購入を始めた使い捨て哺乳瓶により衛生面を確保していきたいと考えている。哺乳瓶用インナーバッグは家庭での備蓄に適しており、在宅避難の備えの一つとしていただければと考えている。
Q.昨年、関東大震災から100年の節目ということもあり、ある赤ちゃん製品メーカーが全国の地方自治体の備蓄状況等の実態調査をしている。今回の調査結果から見たときに、立川市の備蓄品一覧にないのが乳児用おしりふきと手口ふき。調査では、おしりふきは23.8%、手口ふきは27.8%の自治体で備蓄されるようになったという。おしりふきは、まだ便が固まっていない乳幼児期の赤ちゃんを子育て中の家庭にとっては必需品だが、このおしりふき、万能なのが、普通のウェットティッシュより厚手で破れにくかったり、水などが染み込ませてあるのでデリケートゾーンに使っても荒れたりただれたりしにくく、体を拭くことや、テーブルや食器類の汚れをきれいにすることにも活用できる点。お風呂になかなか入れない避難所生活においては、体を衛生的に保つことに重宝された例もあり、赤ちゃんや子どもたちはごはんを上手に食べられなかったり、こぼしてしまったりするので、避難所生活を快適に続けるためにも必要かと考えるが、見解は。
A.現在、乳児用のおしりふき、手口ふきは備蓄していないが、多目的に使用できるウェットティッシュを各一次避難所に備蓄している。このウェットティッシュは乳児のおしりふき・手口ふきにも使用でき、大人でも身体の清拭など、衛生的に使用できるものと考えている。
Q.今回立川市が備蓄している多目的のウェットティッシュ実際に見させていただいて、一般的なウェットティッシュより大判で、赤ちゃんのおしりふきや大人の体を拭くことなどにも活用できるものだと感じた。各一次避難所にかなりの備蓄があることを知って安心するとともに、こういった多目的に利活用できる製品の備えは良いことだと考えた。備蓄品についての最後に、あるおもちゃ会社による、災害時の子ども支援やおもちゃを通じた心のケアを目的とした、「災害時こども応援活動」の事例を紹介する。昨年12月、都内の自治体へおもちゃ会社より、災害時の備蓄品として開発されたおもちゃが寄贈されたという報道があった。遊びを通じ、避難生活における子どもたちの不安やストレスの緩和にもつながるものとしている。おもちゃということでは、備蓄スペースに心配要素があるかとも感じたが、立川市受援計画を見ると、応急保育の実施を行うことが計画されており、保育実施に必要な資機材等について「布団、タオル類等」との表記は心細く感じる。せめてお絵かきできる書き物、ノート類くらいの準備はあってしかるべきかと考える。子どもたちの心のケアという観点からも、おもちゃなどの備蓄についての見解を聞く。
A.現在子ども向けおもちゃや書き物類については備蓄をしていない。年齢に応じたおもちゃ等を備蓄することは防災備蓄倉庫のスペースの面からも難しいため、子どもが使うおもちゃ、書き物類は非常用持ち出しリュックサックに入れておくなど、個人それぞれの対応をお願いできればと考える。
・災害時のトイレ問題
Q.家庭での備蓄として備えていくという考え方では、先ほどの使い捨て哺乳瓶やインナーバックが授乳グッズとして、いざというときに役立つということ、あるいはこういった、子どもたちが使えるちょっとしたおもちゃや書き物も防災バックに入れておくと良いということは、市の防災講座や訓練の機会、ホームページや広報の特集などのあらゆる機会を通じて発信していただきたい。続いて、災害時のトイレ問題について、こちらはこれまでも議会での議論もふまえ、本市としても備えていただいていると感じている。それでもやはり災害時のトイレの課題がかなり大きく、能登半島地震でも改めて大変な状況が知らされるなど、市民からも心配の声が寄せられている。今回私からは一点、トイレトレーラーについて聞く。災害派遣トイレネットワークというのがあって、これは「全国の自治体が一台ずつトイレトレーラーを配備し、被災地に全国から集結できれば、災害時に深刻化するトイレ問題を大きく解消できるはず」という趣旨に賛同し、トイレトレーラーを導入した自治体が参加するネットワークである。参加する自治体が増えてきている。岩手県の防災イベントで展示された山梨県北斗市のトイレトレーラーは、中に個室が4つあり、水洗や手洗い用の水タンクと汚水タンクを備え、汚物は約1500回の使用ごとに排水する。子どもの場合、和式だと怖がったり用を足すのが難しかったり、また匂いがあるとかなり嫌がったりするのだが、普段により近いかたちで用が足せるのは、子をもつ親にとって魅力に感じる点でもある。立川市でもトイレトレーラーを導入することによって、全国の参加自治体から支援を受けられるようになれば、避難生活でのトイレ問題に対する不安解消につながる。以前はトイレカーの導入について費用面における心配があるとのことだったが、立川市でも昨年実施したふるさと納税型クラウドファウンディングで導入を実現できた自治体もあるようだ。このことについて、見解を聞く。
A.過去の災害においては、トイレの数が足りず衛生環境が悪化した例があったことから、トイレの確保・管理は大変重要な課題であると認識している。本市においては、各一次避難所にマンホールトイレを整備しているほか、簡易トイレ、携帯トイレを備蓄しており、多重的に災害用トイレを確保している。また、家庭での備蓄においても、携帯トイレの備蓄などを大きく呼びかけているところ。トイレトレーラーについては能登半島地震において導入自治体の相互支援がトイレ確保の好事例となっており、被災者支援に大変有意義であることから、積極的な情報収集に努めてまいりたい。
・妊婦・赤ちゃんや子ども連れでも安心して生活できる避難所
Q.今回、自分自身が子育てしているなかで気付く観点から質問を重ねたのだが、もっと多くの子育て中の方と一緒になって考えれば、妊産婦や赤ちゃん・子どもたち、子連れ世帯が過ごしやすい避難所について、さらなる気付きがあるのではと考えた。子育て中の世代との防災に関する意見交換や避難所での備蓄品の精査、見直しは行っているのか。
A.子育て世代との意見交換について、定期的な機会は設けていないが、今年度は市内で活動している子育てサークルと意見交換を行う機会が3回ほどあった。この意見交換の中では、在宅避難に関して備蓄品を用意したいとの声や、子ども向けの簡単なリーフレットを作成してほしいとの要望などがあった。避難所の備蓄品についても、このような機会を通じて子育て世代のニーズ等を伺い、精査、見直しをすすめるとともに、日頃防災面で感じていることを伺い、防災対策に活かしてまいりたい。
Q.こういったところにもさらに力を入れていただければ、妊娠中や赤ちゃん・子ども連れのママにとって安心した避難所づくりへとつながっていく。今回の全国調査は、ママやプレママにもアンケートを行っていて、災害時を想定した安心度について、ママやプレママたちの不安は「避難した場所で子どもがミルクを飲むことができるのか」、また、「避難する場所に備蓄されている品目や量」について不安を感じていることが分かった。子育て中の親たちはその8割以上が、避難所にどんな赤ちゃんグッズが備蓄されているのか、分かっていないという調査結果であった。子育て世帯でも安心して生活できる避難所の備えの情報や周知について、本市ではどのような取り組みを行っているか。
A.避難所にある備蓄品については、市ホームページで備蓄品一覧を掲載し、主な備蓄品は写真を掲載している。市では、市民の皆さまに一次避難所の防災備蓄倉庫を実際に見ていただくことも必要と考えており、自治会連合会各支部が企画する地域防災訓練の訓練項目に防災備蓄倉庫の見学を組み入れている。また、自治会加入の有無にかかわらず、子育て世代に地域防災訓練に参加いただくため、小学校、保育園、幼稚園から保護者のスマートフォンに届くお便りに併せて地域防災訓練の電子チラシをお送りし、広く周知を図っている。
②子どもたちの居場所を増やそう
・子ども家庭支援センターの跡地の利活用など
Q.今般の環境・社会生活の変化に伴ってさらに必要とされている子ども若者の居場所の必要性についての認識やその取り組み内容について聞く。2021年閣議決定された「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」において、「こども家庭庁はこどもが安心して過ごすことができる場の整備に関する事務を所掌し、政府の取り組みを中心的に担う」ことを明らかにし、「こどもの居場所づくりに関する調査研究」を実施、昨年12月、こどもの居場所づくりに関する指針が閣議決定された。その指針の中では、こどもの居場所づくりを進めるに当たっての基本的な視点、子どもの声を聞き、子どもの視点にたち、子どもとともにつくる居場所について、こどもの権利擁護、さらには官民の連携・協働について明記されている。立川市としての取り組みの方向性は。
A.国の子どもの居場所づくりに関する指針では、子どもがそこを居場所だと感じるかどうか、どう過ごすかは本人の主体性を大切にする必要があるとされている。市では、現在、第5次夢育て・たちかわ子ども21プランの策定を進めるなかで、国の指針を参考に、居場所の概念や在り方を議論しているところ。子ども自身が主体的に選択できる多様な居場所が身近にあり、様々な体験やつながりを通して生きる力を伸ばすことができるよう、子どもたちの意見を聞きながら一緒に考える取り組みが大切であるものと考えている。
Q.子ども家庭庁が示す、東京都の地方公共団体が実施する「こどもの居場所づくり」への支援施策一覧の中に、多摩地域26市中20の自治体が並んでいるなか、立川市の実施がないことが非常に残念。今回の指針で示されたこどもの居場所づくりを進めるに当たっての基本的な視点、「こどもの声を聞く」ということ、こども・若者の声を聞き「居たい」「行きたい」「やってみたい」というこども・若者の権利に主眼をおいた、子ども・若者の居場所づくりについて、本市での取り組みを聞く。
A.代表的なものとしては、全ての児童館で実施をしている子ども会議がある。児童館での遊びのルールやイベントの企画など、児童館を利用している子どもたち自身が決める取り組みである。意見を出しやすい環境や場をつくり、児童館運営に反映できるよう努めている。また、放課後子ども教室くるプレにおいても、児童の発案でカラオケ大会などを企画し、職員と一緒に実施をした事例がある。普段の遊びのなかから、友達や職員、地域の方々と関係をつくりながら、自らの居場所をより楽しく、安心して過ごせるような取り組みを行っている。
Q.子どもたちの声を聞いて、子ども若者の居場所をつくること、ふやすこと、よりよい居場所にしていくこと等について、具体的に市の施策としてどう取り込んでいくのか、その展望を聞く。
A.子どもたちの意見は自治体にとってはパートナーの意見として大切に受け止めていきたいと考えている。一つ一つの意見を取り入れながら、子どもたち自身が主体的に選択できるような居場所づくりに取り組んでまいりたいと考えている。
・遊び場や学習スペースの確保等
Q.第5次夢育て・たちかわ子ども21プラン市民意向調査で行ったアンケートでは、子どもたちのあったらいいなと思う場所について多かった回答は、全体では「ゲームやインターネットができる部屋」、が最も多く、高校2年生世代で「静かに勉強ができる部屋」が最も多くなっている。2番目に多かったのは、いずれも「友だちと自由におしゃべりができる場所」となっており、遊び場や勉強スペースを子どもたちが求めていることが分かる。子育て・健康複合施設「はぐくるりん」が完成すれば、未来センターのなかの子ども家庭支援センター、教育支援課、あるいは健康会館の一部が跡施設となるわけだが、そういった場所を利活用し、子ども若者の居場所として再構築する考えがあるのかどうか、聞く。
A.子育て・健康複合施設ができることにより生じる跡施設の活用については、令和4年3月の総務委員会において一定の方向性を示しており、その時点では、子ども未来センター内の事務室等については指定管理者による提案事業の活用とする方向性を、また健康会館については、令和10年度まで暫定利用として、文書等の保管場所として行政利用することを想定していた。一方、近年、市が担うべき行政需要の増加や、それに対応するための人員配置の必要性等から、本庁舎を中心に執務スペースの不足が今深刻な課題となっており、跡施設の活用も含めた検討の必要性が生じている状況になっている。市としては、子どもたちの声も踏まえて様々な手法を使って子どもたちの居場所を確保していきたいと考えているが、子育て・健康複合施設ができることで生じる跡施設を活用した展開については現時点では想定していない状況。
Q.市が行っている取り組みの一つとして全地域に子育てひろばがあるが、土日に行っているひろばは西砂子育てひろばと未来センター内のくるりん子育てひろばのみで、にしすな子育てひろばは年齢制限なしで土曜日の午前中のみ、くるりん子育てひろばは唯一日曜日の実施をしているが、午前午後に分かれて月齢制限があり、我が家のようにきょうだいで3歳差離れていると、午後の時間帯に利用することができず、兄弟姉妹は午前の利用となっている。月齢により離乳食の進み具合やお昼寝の時間も関係して、15時までの開放時間で利用できる時間はかなり限定的になってしまっていると感じる。コロナ禍に全ての広場が時間による月齢制限を設けていたのが、いま、ほとんど緩和され制限なしになったひろばがほとんどだが、なないろ、くるりん、にじっこと市民の利用の多い3か所の広場にはまだ時間による月齢制限があり、このことが気軽な利用のハードルを高くしていると感じている。この3か所の広場で時間による月齢制限が残っている理由は何か。
A.一部の子育てひろばにおいて、お子さんの年齢に応じた利用時間を設定している理由について、物理的な混雑緩和はもとより、月齢・年齢の近いお子さんをおもちの保護者同士の交流や、来場されるお子さんの生活リズムも配慮しているため。乳幼児期のお子さんの成長にとって、お昼寝時間の確保やペースづくりはとても大切なこと。おおむね1歳6か月前後にはお昼寝のペースが一日一回、午後一、二時間になってくることや、就園に向けて、朝の決まった時間に起きて活動する練習につながることなどを意図している。
Q.それから、食事などについて、コロナの流行前はお昼の時間帯に飲食したりすることもできていたと以前お聞きしたが、現在はどのような運用になっているのか。
A.コロナ禍においては、ひろば室内でのお食事は控えていただいていたが、現在は室内または館内の別室でのお食事をとっていただくことができるようにしている。
Q.利用者から届いている声や、それらに対する受け止めは。
A.利用されている保護者の方からは、月齢が近い乳児同士で利用する方がけがの心配がなくてよい、利用の人数制限がなくなって助かる、ひろばで食事をとることができるとその後にお昼寝に入りやすいなど、おおむね賛同の声をいただいている一方で、年齢制限なく利用できるようにしてほしいといった意見も寄せられている。市としては、引き続き安全・安心に利用いただける子育てひろばの運営に努めていく。
Q.こども若者や地域のみんなの居場所というところで、先日、おとなり国立市の「矢川プラス」に伺った。実は昨年春のオープンから私はこちらに子連れで度々伺っておりまして、「ここすきひろば」という乳幼児スペースで遊んだり1階のオープンスペースで食事をしたりと家族で楽しく利用させていただいている。矢川プラスのここすきひろばは、時間による月齢制限なく、木曜定休で土日とも開館しているのが子連れにとっても魅力的で、羽衣町が近く立川市民の利用も多いと聞いた。今回、管理運営している社会福祉法人「くにたち子どもの夢・未来事業団」で立ち上げから携わってこられた職員の方にお話を伺った。こちらは、公立保育園が民営化する際に国立市の100%出資で立ち上がった社福法人であるという。もともと、旧都営矢川北アパートの建て替えに伴い生じる空地を活用し作られたそう。都営団地建替えの際に、高層化することで空地ができるので、その空地を活用させてほしいと国立市から東京都へ要望したという背景があったとのこと。庁内検討で協議をされた、①団地の高齢化や②少子化、③商店街含むまちのにぎわいの減退、これら3つの課題解決に寄与する複合施設を目指しつくられた複合施設である。本市では、現在都営団地である松中団地で、建て替え作業、新たなまちづくりにむけて進行中のところ。矢川プラスができた背景にみられる課題というのは、多くの自治体で当てはまることで、立川市でも同じことが言えるのではないかと思っている。まちづくりの観点から、団地内の空地ができるのであれば、こういった、交流の場づくり、子どもや若者の居場所を増やしていくことについて、協議などされたのか聞く。
A.団地を更新するに当たっては、事業者である東京都と公共施設等の設置について基本協定書を締結している。松中団地の中にある保育施設については建て替えについての議論を行ったが、子どもや若者の居場所についての議論は特に行っていない。
Q.今後、団地などの建て替えの際には、創出用地をどのようにして活用すれば市民の福祉の向上につながっていくのか、という視点ももっていていただきたい。それから、私の地元である若葉町ではけやき台団地の地区計画の導入に伴い、一団地の住宅施設が廃止、新たな地区計画について、都市計画審議会において委員として説明も受けた。こちらはURの建物だが、先行区とされている住宅地区Cの土地利用の方針について見ると、「老朽化した住宅等の建替えにより、バリアフリー対応など多世代がつながるコミュニティに資する多様な住宅等を供給」「一部を広場・オープンスペースとして整備することにより、コミュニティ形成や防災等に資する土地利用を図る。」と明記されている。この部分だけ読んでみても、新たなけやき台団地の再生にむけて、大変に期待を寄せている。そこで、こういった土地利用のなかで、立川市の考える地域住民の交流の在り方やこども若者の居場所について、それらを取り入れていくチャンスと捉えて、そのスペースの在り方については地域の方と一緒に考えたり、URに情報提供したりなど、そういった予定はあるのか。
A.けやき台団地については、現在建て替えが予定されている住宅地Bについては施設計画がまとまっていることから、今の段階では難しい状況。しかしながら、住宅地区Cについては、地区計画における土地利用の方針において、新たなニーズに対応した子育て支援や高齢者支援などの機能導入等を図るとしていることから、今後建て替え計画の進展に応じては、子どもや若者の居場所の設置について議論の俎上に上げることができるものと認識している。
Q.まちのことを知っているのは地域の人でありその地域であると思うので、ここは是非立川市としても一緒にまちづくりをしてほしい、そして子ども若者の安心な居場所を増やしていってほしいと願う。矢川プラスでお話を伺った際、朝から開館しているので、学校に行きづらい子どもたちの居場所にもなっていると聞いた。立川市でも全国的な傾向と同じく不登校が増え出現率は国・東京都の割合を超えていたり、教育支援センターの取り組みを行ったりしていただいているが、登録している児童生徒は2割弱と少ないということはこれまでにも指摘をさせていただいた。家以外にいる場所がない子、あるいは家にも居づらい子たちにとっての居場所が必要なのだろうなと感じている。市としては、学校や家を自分の居場所と感じることができない子どもたちの居場所については、どのような見解か。
A.公設児童館、立川市にも8館あるが、午前9時から開館をしている。児童生徒それぞれに来館する時間・目的は様々だが、児童館で過ごす時間が学校や家庭とは異なる空間、人間関係の中で安心できる居心地のよい居場所であるよう、指定管理者と情報共有をしながら運営を行っているところ。
Q.紹介させていただいた矢川プラスには国立市にある公立の児童館の1つ、矢川児童館が1階に併設されている。そして、こちらの児童館は市内で唯一、夜20時まで利用ができるという。小学生が18時で帰宅すると、一気に館内が静かになり、施設全体は22時までなので、オープンスペースで中高生が談笑したり、学習スペースで集中して勉強したり、ちょっと息抜きに何人かで児童館で卓球をしたり、そういった利用が可能となっていると聞いた。なかなか家に帰りづらいと感じているような子たちにとっても、安心できる居場所となっているのだとお話を伺う中で感じたところ。夜間帯のこどもたちの居場所について、市の考えを聞く。
A.本市においても、児童館では中学生は午後7時まで、高校生世代は午後8時まで利用することが可能となっており、年々中高生世代の児童館の利用は増加傾向にある。現在、子ども家庭庁において児童館ガイドラインの改正が議論されており、配慮を要する児童、家庭への対応力向上や地域性を考慮した多機能性も期待されているため、放課後の特に夜間帯における子ども・若者世代の居場所ニーズが高まっているということは市として強く認識している。
Q.NPO法人育て上げネットでは、週に一度夜のユースセンターを開設している。市も昨年クラウドファウンディングで取り上げ話題になった。年間およそ一千人が訪れており、夜間帯、無料の安全な居場所ということでかなりのニーズがある。子ども若者が、自分がここにいてもいいんだと思える居場所が増えていってほしい。冒頭提示させていただいたこども家庭庁のこどもの居場所づくりに関する調査研究については、こどもの視点に立った多様な居場所づくりが行われるよう、創意工夫した居場所づくり、こどもの可能性を引き出す取り組みへの効果的な支援の必要性に触れている。本市としても、考えられる選択肢がいくつかあるかと思うが、官民連携した子ども・若者の居場所づくりの構想について、現時点での考えを聞く。
A.NPO法人や社会福祉法人等の専門的なノウハウやマンパワーを活かし、子どもの居場所を支える活動を行う民間団体が数多くあることは承知しており、大変心強く感じている。令和5年度には、夜のユースセンターを運営しているNPO法人育て上げネットの活動をふるさと納税制度を活用した返礼品なしのガバメントクラウドファンディングにより支援した。今後ともこういった機会を捉え、民間団体等との連携に取り組んでまいりたいと考えている。
Q.学習スペースの確保について聞く。中央図書館に拡充されたという学習スペースを先日見に伺った。もちろん、場所を作っていただくことは大変ありがたいことなのだが、まだまだ足りていないのではないかと感じる。矢川プラスを例にあげると、こちらには1階にミニキッチンがあり、飲食自由なスペースに加え、2階にオープンな学習スペースがあり、定期テストや受験シーズン前になると、こちらの学習スペース18席ではいっぱいになってしまうので、1階にある既存の多目的ルームを個人学習スペースとして開放しているとのこと。私が伺った日は夏休みだったので、宿題をしている子、あるいはリモートワークなのかパソコンを開いている大人の方など多くの方の利用があった。先日のわたなべ議員の質問のやりとりからも今後、社会教育が市長部局へ移管されるということから、今のところ来年度は図書館機能のみということだったが、今後地域の会館や学習館、図書館などに学習スペースを拡充していく方向性もあるのか、あるいは利用されていない会議室を学習応援ルームとして開放するとか、地域福祉アンテナショップで学習優先デーを設けるなど、やり方はいろいろあると思うが、見解は。
A.学校以外で子どもたちの学習スペースを拡充してほしいと望む声があることは存じている。教育委員会からの担当部署の移管というところが学習スペースの拡充に即座に結びつくものとは考えていないが、現状の使われ方など、現在のこの組織体制の中でも工夫の余地はあるものと思っているため、いろいろな声を聞きながら対応しなければと思っている。
テーマ2「小児・AYA世代がん患者への支援」
①現状について
Q.「小児・AYA世代がん患者へさらなる支援を」という趣旨で聞く。思春期や若年成人のことをさす「AYA世代」は、15歳から30歳代の患者さんが当てはまり、この世代に多い特徴的ながんも存在する。この年代のがん患者は、中学生から社会人、子育て世代とライフステージが大きく変化する年代であり、患者さん一人ひとりのニーズに合わせた支援が必要となってくる。市長は、「がん患者の生きる力を応援」するとおっしゃった。本市として、この若年がんについてどのような認識か、聞く。
A.小児AYA世代などの若年がんの原因については、感染症が原因となる一部のがんを除き、主に遺伝的要因や環境的要因と考えられており、予防対策の重要性と難しさを実感している。若年がんに罹患したことが分かった際は治療を優先に行うことになるので、まずは先進的な知見に基づく医学的研究や医療政策を担う国、都道府県が取り組むものと考えている。しかしながら、若年がんに罹患した方は、ライフステージに応じ、生活面や社会活動において様々な課題が生じることから、引き続き、市として必要な支援の在り方について検討をしてまいりたい。
Q.本市で、小児・AYA世代のがん患者へ具体的に行っている取り組みがあるか。
A.若年がんに特化しているわけではないが、感染症が原因となる子宮頸がんについてはHPVワクチンの定期接種、また二十歳から受診可能な子宮頸がん検診を実施しているほか、健康教育事業においては女性のがん予防教室などを開催している。
②在宅支援の充実を
Q.2000年4月の介護保険制度の開始後、2006年4月から特定疾病に「がん」が追加されたことにより、40歳以上のがん患者は本来65歳以上でないと利用できない公的介護保険サービスを受けながらの在宅療養が可能なった。一方、医療費助成や日常生活用具給付を利用可能な、小児慢性特定医療費助成制度の新規申請は18歳未満が対象となっており、両者のはざまに位置する思春期・40歳未満の若年世代のがん患者の在宅療養生活を支援する制度が整っていない状況で、自治体ごとに独自で支援するところもあり、地域格差についても課題と言われている。そういった状況のなかで、東京都は今年度から介護保険制度の対象外である若年がん患者の在宅療養支援を行っている。終末期などは、特に在宅療養を希望される若い患者が多いといい、在宅療養生活を続けるにあたり経済的な不安を解消するための制度であると感じている。立川市としても是非取り組みを始めていただきたいと考えるが、見解は。
A.東京都の事業について、介護保険制度の対象とならない40歳未満のがん患者に対する在宅サービス等の費用を助成するといった趣旨で理解している。現在は、先行自治体の情報収集をするなど研究しているところ。
③東京都AYA世代がん患者等に対する支援の周知を
Q.同じく東京都で若年がん患者等生殖機能温存治療助成事業を行っています。私の知人は、20代でがん治療を乗り越えた後に、不妊治療を経て妊娠・出産しています。がん治療の影響により生殖機能が低下するおそれのある若年がん患者に対し、将来の妊娠に備えながら、希望をもって治療に取り組むことができるよう支援情報を提供することは肝要であると考える。具体的には、胚凍結、卵子凍結、精子凍結などが、要件を満たせば上限はあるものの、満額助成される。令和3年・2021年度から始まった助成制度だが、こちらも市のホームページで発信がなく、現状の表記ですと支援内容にたどり着きにくいのではと感じている。未来に生まれる命を守るためにも、また小児・AYA世代のがん患者の希望をもって生きる力を応援するという意味でも、こういった情報発信に力を入れていくべきと考えるが、見解は。
A.東京都ががんポータルサイトを開設しており、相談窓口の紹介、また治療・療養に役立つ様々な情報を提供していることも承知している。市のホームページから速やかに必要な情報にアクセスできるよう工夫してまいりたい。