令和6年第1回定例会ご報告~一般質問~
一般質問で原ゆきが行った質問をまとめました。
関心のあるトピックをクリックしてお読みいただければと思います。
※記事は概要です。質問の様子は以下をクリックしてご覧いただけます。
Topics
テーマ1「特別なケアが必要な子どもたちのために」
Q.文科省が学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合が、平成24年2012年に行った調査においては推定値6.5%でしたが、令和4年2022年調査では推定値8.8%に増加した。9パーセント弱ということは、30人や35人学級で2~3人の割合ということになる。さまざまな背景や個性をもつ子どもたちが増えているなかで、周りと少し違っていることや障がい、あるいは一斉指導が難しいなどの理由から学校や地域から排除されるかたちにあってはならない。2017年には「教育機会確保法」が施行となり6年が経過した。子どもたち一人ひとりの学びの保障のために、立川市としてどういった手立てを行っているのか、伺う。
A.障がい等により特別な支援を必要とする児童生徒数は増加傾向にあり、その特性も多様であることから、それぞれの教育的ニーズに応じた指導・支援が必要とされており、一人ひとりの能力と可能性を最大限伸長するため、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導及び必要な支援を行っている。また、個別の教育支援計画や個別指導計画などを活用し、丁寧な対応を進めている。
〇発達サポートファイル「たちサポ」について
Q.発達サポートファイル「たちサポ」について聞く。発達サポートファイルでは、乳幼児期から成人期までの継続的な相談や支援のために活用をしているが、どのような活用がされているのか。
A.お子さんの育ちを記録したオリジナルアルバムとしての利用のほか、入園・入学・施設利用にあたっての相談や手続き、医療機関受信時の経過の振り返りなどを想定している。利用先のスタッフが記録を見ることで、お子さんのこれまでの成長の過程やサービスの履歴、支援方針などを正確かつスムースに理解することができる。
Q.サポートファイルについて、保護者はどのようなきっかけで、作成にとりかかるのか。作成の機会、ファイルの入手方法、情報の周知などについて伺う。
A.サポートファイルは、発達に関する講座やおしゃべり会、就学相談説明会の参加者、発達支援親子グループやドリーム学園の保護者当にご案内し、活用を勧めている。希望される方には、市内3か所の公共施設でお渡ししているほか、市ホームページからダウンロードすることもできるので、保護者の方が必要と感じたタイミングで活用いただいているものと認識している。
Q.サポートファイルを活用している方はどれくらいいるのか。
A.市が直接渡した件数では、令和2年2020年1月の配布開始から、令和6年2024年1月末までの4年間で、合計482冊。ホームページからのダウンロードによる利用の場合、新規の方なのか、シートの更新の方なのかが識別できないため未把握。
Q.サポートファイルの導入の際、作成の段階ではどのような人が関わったのか。
A.庁内の子育て・福祉・保健・教育等の職員まで構成をする「途切れ・すき間のない子ども・子育て支援委員会」の専門部会で協議を重ねた。検討の過程においては、発達支援親子グループや特別支援学級の保護者の方などにアンケートを行い、ファイルの大きさやデザイン等についてご要望を伺ったほか、試作品完成後にはモニター会議を開催するなど、実際に活用される方からのご意見を参考にしている。
Q.令和2年2020年1月から導入が始まったということだが、実際に運用を始めて、保護者から使い勝手などについて寄せられた声はどのようなものか。
A.実際に活用している保護者の方から、「情報がまとめられて便利」「サービスの利用時に、一から話さなくて済んでよかった」などの声がある一方で、「大きくて持ち運ぶのが負担」「園に持参したが、結局、園指定の様式に書き写さなければならなかった」「書くところがたくさんあるのに罫線がなく、記入がしにくい」などのご意見も聞いている。
Q.お子さんが未就学や学齢期の家庭でサポートファイルを活用している話が聞こえてこないということを聞いた。なかなか活用されない要因の一つには、記入のしにくさもあるのではないか。東大阪市の「就学サポートシート」などのように、子どもの特性について分かりやすいチェック項目を設けたり、「支援の一例」ということでイラスト付きで質問に答えた内容によって、適切な支援までも見通しがもてるように工夫して作られたりしている例がある。実際にサポートファイルを活用している方から、記入しやすく編集しやすい形式に改善してほしいという意見があるが、どう受け止めるか。
A.試作段階で開催をしたモニター会議において、イラストの挿入やカラー化、記入の手間が省けるチェック形式への改善などを希望する声はいただいていたので、現在もご要望は少なからずあるものと認識している。ご意見を参考に検討したが、イラストやカラー化によってページ数と材質が変わり、ファイルの重さが増してしまうこと、また「療育手帳の変更時など、成人しても使うので、かわいらし過ぎないシンプルなデザインがよい」とのご要望もあり、現在の様式となった経過がある。
Q.記入をする保護者の方も、発達特性や子どもの障がいなどについてはじめから知識があるわけではないので、専門的な知識をもっていない親であっても書きやすい形式であれば、親にとっても、子にとっても、支援を考える人にとっても分かりやすく見やすいファイルになる。立川市は子育てアプリを導入したところであるので、使い勝手の良さを目指してアプリとの連携をするというのはいかがか。ファイルがなくても手元ですぐ確認できることや、発達相談などの際に必要なページだけプリントアウトする、といったことが可能になればサポートファイルを活用するご家族の助けになる。見解は。
A.現時点ではアプリと連携する予定はないが、国や都の動向、また各市の先進事例等も参考に研究してまいりたい。
Q.また、サポートファイルは導入から4年が経過しています。発達支援計画、特別支援教育実施計画の中にこのサポートファイルの活用が盛り込まれており、これらの計画を進める中におけるサポートファイルの活用の成果をどのように評価しているか。
A.サポートファイル導入直後より、コロナ禍で対面する機会が極端に減少し、同時にデジタル環境や技術が急速に進歩したことに伴い、大きな紙のファイルで情報を管理するスタイルは選ばれにくくなっている面は否めない。導入前の保護者アンケートでは、「同じような内容を行く先々で聞かれて負担に感じた」「子どもの成育歴をすぐ思い出せない」「検査結果や診断書を紛失した」などの経験がつづられており、その課題を解決する一つのツール提供という観点においては一定の役割を果たしていると評価している。お子さんの成長発達の過程や配慮事項等を家族と支援機関が共有し、ライフステージを通じた途切れない支援と理解につながることが成果と捉えている。
利用者の方々に積極的に声を聞いての改善や、専門的な視点も視野にいれての改良を要望とする。
〇就学支援シートについて
Q.小学校に入学する新一年生を対象として、就学前機関と小学校との円滑な連携を進めるために活用している「就学支援シート」だが、就学する新一年生の中で、どれくらいの子が提出しているものか。
A.令和4年2022年度実績で208人、新規就学者の約15%に当たる方が作成している。
Q.提出された就学支援シートだが、学校の中では実際にどのような活用をしているのか。
A.保護者と幼稚園・保育園・その他専門機関の方とが協力して作成した後、教育支援課を通じて就学する学校に引き継ぐこととなる。就学先の学校では「就学支援シート」を参考に、個別指導計画の作成、学級編成への活用や日常的な指導・支援のヒントなどに活用している。
Q.進級する時には、どのような扱いがされているのか。
A.個別の教育支援計画や個別指導計画を作成するに当たって、このシートを活用しているため、進級時においても引き継がれている。
Q.卒業後はどのような扱いになるのか。
A.進級時と同様、このシートの内容について、必要に応じて引き継がれている。
就学前機関から、小学校への引継ぎを適切に行うことで学校生活が円滑に始められるよう、また、入学後の支援計画作成や学校生活における支援にしっかり活用されるようお願いする。
〇個別の教育支援計画や個別指導計画の取り組み状況
Q.個別の教育支援計画と個別の指導計画の取組状況について、それぞれの作成率について、小学校中学校それぞれのお示しを。
A.令和4年2022年度の作成数は、個別の教育支援計画については、小学校では706人で約8.2%、中学校では224人で約5.9%作成している。個別指導計画については、小学校では734人、約8.5%、中学校では217人、5.7%作成している。
Q.この作成の基準について、令和5年2023年第3回定例会一般質問での答弁では、学校が必要と判断した場合に作ることになっているとのことだが、作成をしていない学校があったということも分かった。文科省の「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制ガイドライン」では、個別の教育支援計画の作成とそのねらいについて、「教育上特別の支援を必要とする児童等については、学校生活だけでなく家庭生活や地域での生活も含め、長期的な視点に立って幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を行うことが重要であり、その際、家庭や医療・保健・福祉・労働等の関係機関と連携し、様々な側面からの取組を示した個別の教育支援計画を作成・活用しつつ、必要な支援を行うことが有効」だと示している。各支援シートは学校生活を円滑にし、本人がより良い学校生活を送っていく上でも有用であると考える。作成の基準やその周知等については現状どのような取り組みをしているのか。
A.これまで、通級による指導を利用している子どもや特別支援学級に在籍している子ども以外では、学校判断で作成することとしてきたが、就学支援シート等を作成している子どもについては、保護者からの意見も踏まえ、保護者等の作成についての意向を必ず確認するよう、校長会等を通じて周知している。今後も、作成の目安等については、適宜見直しを図っていく。
Q.作成した計画はどのように活用しているのか。
A.計画に基づく指導・支援を実施するとともに、定期的に校内委員会等における内容の見直し、保護者との支援内容の共有や見直しなどを行い、指導・支援内容の充実を図っている。
Q.それぞれの計画は、どのくらいの期間で更新や計画の見直しが図られるのか。
A.原則、個別の教育支援計画は年に1回、個別の指導計画は学期ごとの更新としている。そのほかに、新たな支援機関との接続など更新の必要がある場合には、その都度追記するなどし、更新を図っている。
Q.シートを作成する児童生徒がクラスに数人いることを考えると、実際それぞれのシート作成にあたる担任の先生のご苦労が伺える。ぜひチームで進めていけるように特別支援コーディネーターや通級に通っていれば指導にあたっている先生の助言などできる限り多くの方の協力がされ、それぞれの見立てが計画のなかに盛り込まれるよう、引き続きの取組のご努力をお願いする。それぞれの計画だが学校からは作成や運用にあたってどのような声が届いているか。
A.学校からは、学期ごとに作成しなければならず、作成にかかる負担は大きいとの声がある。
Q.発達の段階によって支援の手法も変化しするため、一定の期間で計画を見直したり更新したりすることは肝要であると考えると同時に、一人ひとりの各シートの確認・記入の作業だけでも大変だという話を学校の先生から聞いている。この2つのシートを何とか関連付けて業務負担軽減することはできないか。
A.個別の教育支援計画、個別指導計画はそれぞれ異なる役割をもったものであり、それぞれの目的を達成するために必要なものと捉えている。取り扱いについては、これまでも先生方の意見を反映しながら、通知表との一体化を図るなどしてきた。業務軽減は必要と考えており、今年度は関連する教育課程の届け出など、他の様式の改善を図るなどしている。今後も個別の教育支援計画、個別指導計画のみでなく、それぞれの目的を損なうことなく、様式や取り扱いについて改善を図っていく。
より良いかたちでシート自体も改善していくよう求める。
〇不登校支援について
Q.先の文教委員会で示されたで「不登校児童・生徒の現状」については、令和4年2022年小学校で192人、中学校では273人の児童生徒が不登校状態にあるということが報告された。全国的な傾向と同じく増加傾向であり、立川市におけるその出現率は国・東京都を上回る。市立小・中学校において学校に行けない子どもたちにとっての居場所の一つとするために立川市は「教育支援センター」を開設している。利用児童生徒数について、令和4年2022年には小学生が対象の「おおぞら」利用児童数は11名、中学生が対象の「たまがわ」は21名という示しがあった。利用登録の人数ということから、その利用頻度には差がある。この、利用しているに含まれる子たちも、頻繁に訪れているかというとその限りではないということ。前回の12月議会一般質問で同会派のあべ議員が質問した際には小学生14名、中学生43名ということで利用している児童生徒は増えているが、それでもおよそ小学生は不登校全体の1割以下、中学生は2割以下ということになる。教育支援センターの機能を強化していくことと同時に、それ以外の、つまり教育支援センターを利用していない子たちの多様な学びを保障していくことが重要だと考える。そこで、立川市では校内別室指導を行っているということだが、その内容は。
A.今年度より立川第五中学校において、東京都の事業を活用した「校内別室支援指導支援員配置事業」に取り組んでいる。本取り組みは週に3回図書室を開室し、生徒は自身の学習課題に取り組んだり読書をしたりするなど、それぞれの興味・関心に応じて利用している。そのほかの学校においても教室以外の場所を活用し、児童生徒への支援に取り組んでいる。それぞれの教室以外の居場所で過ごす児童生徒には、教員や学校支援員等が指導・支援に当たっている。
Q.校内別室指導支援員配置事業の、次年度の取り組みについて、聞く。
A.立川第五中学校の取り組みは次年度も継続して実施する予定としている。また、令和6年度については、東京都から新たに5校が本事業の指定を受け、校内別室支援指導支援員配置事業に取り組む予定。令和6年2024年第2回市議会定例会に、関連する補正予算の提案を予定している。
Q.校内別室指導は、どれくらいの子どもたちが活用しているのか。
A.教室以外の部屋を居場所とする児童生徒数は、曜日や時間等により利用数の変動がある。教室以外の居場所を利用する場合には、学校と児童生徒数及び保護者とで、利用の目的やルール等について相談しながら利用している。
Q.校内別室指導とは別に、フリースクールに通っている子もいるが、フリースクールに通っている児童生徒の把握はしているのか。
A.保護者や本人との話し合いや面談のなかで、フリースクール等の利用について学校として把握するように努めている。なお、学校が把握した情報については、教育委員会による毎月の調査の中で学校から報告することとしている。(後日、会派代表の稲橋議員の質問から、フリースクールに通っている人数として把握しているのは小学生56人、中学生18人ということが示された)
Q.教育の機会確保法が成立し、多様な学びを自治体が支援していくことが強く求められている。ましてや立川市は東京都や国に比較しても高い出現率ということから、学校に行くことが難しい子どもたちの居場所として、現状での取り組みを超えて、多様な場所を認めていく必要があると考えるが、見解は。
A.不登校児童生徒が学校外の施設において相談・指導を受ける場合、当該施設への通所等が学校への復帰を前提とし、かつ児童生徒の自立を助ける上で有効・適切であると判断された場合には、校長は出席扱いとすることができる。出席扱いとする場合、学校は一人ひとりの状況について丁寧に把握するとともに、教育委員会と十分に連携しながら判断をしていく。
Q.市内のフリースクールでは、フリースクールの方へよく顔を出していて出席簿もつけているが、家庭によって学校への報告がまちまちだということを聞いた。学校へ報告すれば出席になる場合であっても、学校へ報告している子は出席扱いになり、報告していない子は出席とならない。保護者が情報を知らないこと、あるいはその報告を学校と共有しないことでその差が生まれてしまっているようだ。学校との共有や出席扱いについての考えは。
A.学校外の施設等における相談・指導を受ける場合、保護者から学校に対し利用することを伝えるとともに、相談・指導内容について学校と丁寧に連携していく必要があると認識している。
Q.不登校の児童生徒について、保護者の取り組みによって、その子の支援が大きく左右されるという話を支援団体の方から聞いた。先ほどのフリースクールへの出席についての話もそうだが、保護者に情報がどれだけ届いているかでその子の選択肢の幅が広がるか、狭まっていくかが決まるとさえ言える。親が疲れてしまって学校との連携ができなかったり、あるいは間違った判断から、さらには知識や情報がないことからその子の状態にあった支援ができなかったりすれば、その先の人生にも影響する。逆に、親がきちんと情報をもっていてその子の状態にあった支援ができれば、学校に行けなかったとしても、その子らしい人生を歩んでいけると言えるとは考える。積極的な情報のアプローチが必要な家庭であると考えるが、市としては不登校の子どもたちへ、またはそのご家庭への情報提供の在り方についてどのように考えているか。
A.本市としては、登校しぶりの傾向がみられた場合に、保護者への早期の連絡や家庭訪問を行うよう校長会等で周知している。また、不登校支援に関する保護者向けリーフレットを作成し、不登校に関する相談窓口や不登校児童生徒の学びの場や居場所について周知するとともに、学校からの要請に基づきスクールソーシャルワーカーを派遣し、不登校児童生徒やその家庭の支援に当たっている。
Q.不登校児童生徒の支援について、バーチャルプラットフォームの活用を検討するということだが、取り組みの内容について聞く。
A.東京都の事業となるが、バーチャル・ランニング・プラットフォームでは、仮想上の空間を利用し、不登校児童生徒が相談したいときに、相談できる人と相談したり、友人同士で交流したりすることを想定している。
Q.入間市が同様の事業を行っていて、先日視察を行った。利用者からは大変好評のようだが、予算がかなりかかるため、次年度の受け入れは断っているような状況だと聞いた。国や東京都からの補助金はあるのか。
A.本取り組みは東京都の事業の一環として実施する取り組みで、担当者の配置等はあるが、立川市としての直接的な財政負担は予定していない。
Q.立川市では何人程度受け入れていく予定なのか。
A.実際に本取り組みの利用に当たっては、東京都から割り当てられるアカウント数に応じ、利用できる人数を検討していく予定。
教育支援センターの機能を強化していくことも大切だが、現状で学校にも支援センターにも通うことが困難なこどもたちのために、フリースクールとの連携を強めていくこと、地域の居場所など様々な学びの場を認めていくことが必要。家でも学校でもない公的な、あるいは地域の居場所は、不登校の子たちのみならず、多くの子どもたちの助けにもなる。学童や図書館、子ども食堂などがその例。バーチャル・ランニング・プラットフォームの活用など新たな取り組みも推進し、できる限り多くの子たちが自分に合う居場所や手法で社会と関わり続けたり、自らの学びを続けたりすることができるよう、取り組みのさらなるご努力をお願いする。
テーマ2「夏季休業中の学童保育所等における昼食提供を」
Q.昨年6月末、こども家庭庁は夏休みの学童保育所等における食事提供について、全国1633自治体を対象として調査結果を発表した。5月1日時点の調査によると、状況を把握している995自治体にある1万3097か所のうち、22.8%にあたる2990か所が児童に何らかのかたちで昼食を提供していた。弁当作りを負担に感じる保護者は多く、また夏場に弁当を持参することで食中毒を心配することなどから、学童保育所等での昼食提供のニーズがあるとして、同庁は自治体に対し「地域の実情に合わせ検討を」と呼び掛けている。同じく昨年7月、東京都福祉局の子ども子育て支援部より学童クラブの長期休業中における昼食提供調査があった。その内容と立川市の回答について、聞く。
A.仕事をもつ保護者にとって、学童保育所や放課後子ども教室くるプレ等の安全な子どもの居場所があることは、安心して仕事と子育てを両立する上で不可欠なものであると認識している。一方で、給食のない日に、早朝からお弁当を作ってお子さんに持たせることはご負担があるだけではなく、衛生面の不安もあるとのお声を聞いている。本市としては、昼食の提供については検討課題ととらえている。
また、調査内容については、昼食提供を行っている学童保育所の数と公営・民営の内訳、所内での調理か外注方式かなどの提供方法、今後の提供開始の予定、提供を行えない要因や課題を答えるもの。本市では、昼食提供をしている、または提供の予定がある学童保育所はないとした上で、提供を行えない要因や課題として、調査票の選択肢の中から、「人手が不足している」「発注業務や集金業務に対応できない」「食物アレルギーなどの安全性が十分に保証できない」の3点を選択し、回答した。
〇立川市の現状と先進事例
Q.夏季休業中における立川市の学童、放課後子ども教室それぞれの昼食の実態について、聞く。
A.まず学童保育所では、学校で給食のない日はお弁当のご持参を保護者にお願いをしている。放課後子ども教室くるプレでは、ご家庭のご都合に合わせた利用ができるため、お弁当の持参は任意としている。いずれも食事専用の部屋はないため、基本的には保育室や活動拠点の教室で食事をとっている。
Q.弁当を持参して、その保管方法についてはどのようになっているのか。
A.両事業者ともお弁当専用の保管設備や場所がないため、学童保育所では保育室、くるプレでは活動拠点の教室で保管をしている。夏場などは、お弁当の内容や保冷剤の活用などを工夫していただくよう、保護者の方にご案内している。
Q.保護者や子どもたちから昼食提供を求める声はあるのか。
A.学童保育所の保護者アンケートでは、昼食提供を希望するご意見を複数いただいている。くるプレの場合は、学校休業日は出入り自由で、帰宅して食事をとることができるためか、特に声はいただいていない。
Q.求める声があるなかで、今のところ昼食提供の導入ができていない、課題は何か。
A.現在、学童保育所の多くが数名のスタッフのみで運営をされており、食物アレルギーへの対応や提供作業、現金取り扱い等による職員の負担増、保管場所の確保や衛生管理、配送手段、緊急時の体制などに課題がある。ただし、他自治体での事例集も国からは提供を受けているので、提供方法、実施方法によっては一部の課題が解消できることは認識している。
Q.昨年夏に行った議会事務局調査では、学童に子どもを預ける保護者が、夏休み中に弁当を用意せず子どもが昼食をとることができるような取り組みについて、多摩地域26市中、回答のあった自治体のうち、3分の1ほどの自治体では、何らかのかたちで「実施している」旨の回答があった。八王子市では、夏季休業中の2日~5日間において、学校栄養士の作成した献立を小学校の給食調理室及び学校給食センターの調理機能を活用し、調理・提供しているとのこと。喫食場所は小学校の教室又は学童保育所の保育室とし、給食センターからは専用のトラックで運搬しており、保護者負担金、一食250円は食材費として徴収し、人件費や需用費は市が支出している。この他に、各施設独自で仕出し弁当や買い物昼食、レトルト昼食等の取組みを実施している。実際に、会派で視察を行い、子どもたちのためにできることをと、職員が団結して取り組む姿が頼もしかった。八王子市の事例についてはどのように研究をしているか。
A.まず、移動してということについて、現在市内に38ある学童保育所のうち26か所が小学校の敷地の外にあり、距離が離れている学童保育所も多くある。移動して食事をとる場合には、往復の安全管理や相応の所要時間が生じるほか、夏季は外出時の熱中症対策等も必要となる。配膳作業を行う人員や、提供を希望しない児童の保育体制の確保、休業日の施設利用に係る学校のご協力や密な調整など様々な課題があり、市内一律に実施をすることは難しいものと考えている。
Q.国は放課後児童クラブ育成支援体制強化事業を行っていて、昼食提供について運営事務等を行う職員を配置する費用に対する補助を行っている。本事業の活用については検討などしたのか。
A.学童クラブ育成支援体制強化事業は、おやつの発注や保育室の清掃など、育成支援の周辺業務を行う職員の配置経費に充てられるものだが、令和6年2024年1月29日付で東京都より情報提供があり、学童保育所での昼食提供業務等を行う職員も補助対象に含まれるとの見解が改めて示されている。
本市においては、令和6年2024年度予算案において、周辺業務のみに従事する職員の加配を予定していないため、現時点では当該補助金の活用は検討していない。
Q.また、東京都の学童クラブ昼食提供支援事業は、運搬や調理等にかかる費用を10分の10で補助するもの。こちらの検討はしているのか。
A.東京都の学童クラブ昼食提供支援事業については、国の補助金の拡充と合わせ、本年1月29日付で、都の令和6年2024年度予算において、包括補助事業のメニューに新たに加えるとの通知があった。
1クラブあたり22万円の上限があること、食事提供に関するマニュアル策定等が必須であることなど、条件があるが、令和8年2026年度までの3年間に限り、都の10分の10の支援が受けられるため、検討の余地があるのものと考えている。
Q.こども家庭庁成育局成育環境課では「放課後児童クラブの長期休業期間等における食事提供事例集」を公表し、全国の取り組みを紹介している。議会事務局調査では、何らかのかたちで実施している自治体の多くは、保護者や学童クラブ・またはその指定管理者が仕出し弁当の事業者などと契約・提携しているという回答がほとんどであった。また令和5年2023年6月子ども家庭庁の「放課後児童クラブにおける食事提供について」通知の中では、子育て中のひとり親家庭や経済的な困難を抱える家庭等の子どもについては、特に、小学校における夏季等の長期休業期間中等の食事について配慮が必要であるとの記載もあった。弁当を持ってきてもコンビニの袋パンだけ、という児童を実際目にしているとの話もある。給食センターの活用や弁当の配食などで夏休み期間中に乱れがちな栄養バランスも整うことにつながる。立川市の実態に即して、市で実現可能な手法としてはどのようなものが考えられるのか。
A.昼食提供を実施するためには、児童に安全に提供でき、かつ保育に支障を来さない実施形態とする必要がある。現時点では、各学童保育所に保護者が発注したお弁当が納品され、契約から料金の支払いまでの一連の事務が、給食事業者と保護者間とで直接行われるような仕組みであれば、導入できる可能性があるものと考えている。
〇公共施設の利活用の考え方
Q.立川市には素晴らしい給食センターが出来たばかりであり、子どもたちは給食が大好きなので、給食センターとの連携ができれば、嬉しく思う。さらには、地域の方にも開放するなど、この地域にセンターができてよかったと思ってもらえる取り組みをすすめていただきたい。最後に、本日ここまで聞いてきた夏季休業中の学童等への昼食提供や災害時等において、公共施設の一つとして給食センターの利活用をすすめてほしいと考えるが、見解は。
A.小中学校の夏季休業等の期間中の学校給食共同調理場では、調理機器や施設の修繕・調整・清掃、食器や食具の消毒のほか、従業員の衛生管理研修や料理の試作など、給食提供期間では実施が難しい業務を行っている。このため、現在の契約の中では学校給食以外の食事提供は難しいものと考えている。
実現可能性を探り、できる手法を導入していただくよう、また、公共施設の利活用という視点でみれば、この昼食提供事業について、いずれは給食センターと連携できるよう長期的な展望として、要望とする。